ソチ五輪 雪と氷の情熱BACK NUMBER
世界10位から逆転でメダルへの挑戦。
スマイルジャパンの自信と野心。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byisifa/AFLO
posted2014/02/05 10:45
チェコとの強化試合に2連勝し、自信を深めたスマイルジャパン。キャプテン、大沢ちほもハードワークに自信を見せた。
2戦目のロシアは開催国ならではのアドバンテージに注意。
続く第2戦は開催国のロシアが相手だ。飯塚監督の警戒心も高まる。
「個のレベルが高い。スコアリングのセンスを持ったフォワードがいる。1対1で負けると苦しくなる」という前提に立つと、第1戦に続いて連動した守備がゲームを左右するだろう。
アウェイの雰囲気に包まれた一戦でもある。
メンタルタフネスが問われる一戦へ向けて、チーム最年長の近藤陽子は「自分たちがやるべきことに集中する」と話す。メンタルトレーナーを迎えて精神的な強さを身につけ、接戦に脆い体質を改善してきただけに、長野五輪を知るベテランの言葉には説得力がある。
19歳のディフェンス床亜矢可も、近藤の考えに寄り添う。ロシアへの声援が轟くリンクを、彼女もまた冷静にイメージしている。
「観衆の声援で笛が聞こえないかもしれないので、プレーをやり続けることが大事。開催国相手でプレッシャーがかかるかもしれないけれど、やったことのない雰囲気でできることをポジティブに考えたい」
ゴールキーパー、退場中の人数差が勝負の鍵。
世界ランキング上位国の強みに、ゴールキーパーのレベルの高さがある。日本が対戦する3カ国にも共通するストロングポイントだ。
身体能力に恵まれたGKを攻略するために、日本はゴール前の動きに変化を求めてきた。パックを持っていない選手がGKの視界を遮るスクリーンプレーや、シュートコースを瞬間的に変えるティップなどのプレーに、トレーニングの時間を費やしてきた。ディフェンスがミドルレンジからシュートを放ち、こぼれ球にフォワードが反応するシーンを増やせれば、パックの支配率に関わらず得点の可能性は高まっていく。
2分間のマイナーペナルティが少なくないアイスホッケーでは、人数にギャップのある攻防が勝敗を大きく分ける。人数の多いパワープレーを得点へつなげ、人数の少ないキルプレーで失点をしないといった基本的戦略が、ソチ五輪で重要になるのは言うまでもない。
プレー再開時のフェイスオフにおけるパック支配率もポイントだ。自陣のフェイスオフでパックを失うと、そのままシュートへ結びつけられる危険性がある。
開幕を直前に控えた飯塚監督が「細かな部分を突き詰めたい」と語るのも、世界のトップ・オブ・トップは小さなミスを見逃さないからである。