JリーグPRESSBACK NUMBER
一匹狼がベテランとして再びJへ。
松井大輔が語るジュビロとの“縁”。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byNoriko Terano
posted2014/01/19 08:20
やわらかい表情で入団会見にのぞんだ松井大輔。32歳、ベテランとはいえその技術は全くさびついていない。
「日本へ帰りたかったんだよね」
実は11月に会ったとき「(今夏も)日本へ帰りたかったんだよね」と語っていた。毎シーズンのようにJリーグ復帰を取りざたされてきたが、「欧州志向が強い」とも報じられ、本人も「いいオファーがあればね」と受け流してきた男が、自身から帰国について語ったことに驚かされた。
けれど、東日本大震災の被災地支援にも熱心に取り組み、日本代表の現状について熱く語る松井は、フランスへ渡った直後に「海外に出てから“君が代”や“日の丸”への想いが強くなった」と話していた。そして、年に1、2度のインタビュー取材でも、気がつくと日本の政治や原発、社会問題などサッカー以外の話で盛り上がる時間が増えていた。
32歳。現役としての残り時間を考える年齢である。松井の心の中で、日本への“想い”がどんどん募っていくのは自然なことなのかもしれない。
「俺はJリーグでは、天皇杯に優勝しただけで何もやっていないからさ」と帰国したい理由を聞くと、小さくそっとつぶやいたことを思いだす。それでも、そのときは彼自身も具体的に帰国のイメージを抱いていたわけではなかった。
「リーダーというか、裏番長として」
ジュビロ磐田の新体制発表会見。
「やるべきことや求められていることはわかっている。早くサポーターに認められるよう自分らしくプレーしたい」と挨拶した松井は、「日本でやりたいという気持ちがあったし、昔のジュビロがすごく好きだった。もう1度ジュビロらしいサッカーが見せられるように、監督に求められるプレーをしていきたい。J1復帰は当たり前のこと。1年間、駒野をイジっていこうと思っている」と笑いを誘った。
服部強化部長の「松井の性格とプレーで、チームを明るくしてくれると期待している」という言葉には「リーダーというか、裏番長として、うしろから突っついていきたい」と応えた。
写真撮影では、シャムスカ監督の後ろに隠れるように立っていた。目立たないようにしようとしてもやはり注目は集まる。何台ものテレビカメラの個別取材に対応し、ペン記者の囲み取材でも多くの記者に囲まれた。