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一匹狼がベテランとして再びJへ。
松井大輔が語るジュビロとの“縁”。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byNoriko Terano
posted2014/01/19 08:20
やわらかい表情で入団会見にのぞんだ松井大輔。32歳、ベテランとはいえその技術は全くさびついていない。
松井が口にした、ジュビロとの“縁”。
「(服部強化部長が言うような)明るいキャラクターかどうかわからないけど(笑)。周囲から求められることで、自分の幅が広がっていくというのは、自分を発見するうえでも良いことだし、プラスになると思う」と話す松井に改めてジュビロらしさについて訊いた。
「京都時代、ここ(ヤマハスタジアム)へ来ると、『今日は何点取られるんだ』という風に感じるほど、ジュビロは強かったですよね。でも、ここからイチからスタートをしていきたい。選手層も厚いし、タレントもそろっている。J1へ上がって、ジュビロらしいサッカーをやることが、自分にとっても楽しみだから」
静岡にも浜松にも、そして磐田とも縁があるわけではない松井が、口にした“縁”。それは“らしさ”に囚われず、新たなスタートを切るチームと選手ということなのかもしれない。
「サッカーやるんなら、勝ちたいでしょ?」
そして、もう一人、過去を過去のものとし、挑戦しようとする男がいた。シャムスカ監督だ。来日時には空港でサポーターの出迎えを受けた指揮官は、サックスブルーのシャツで登壇。「ブラジルで唯一売っていたのが、このシャツだったんです」と照れ臭そうに話した。
「大分では“シャムスカ・マジック”と呼ばれる結果を残したが、再び日本で証明したいことは何か?」という質問に対して、強い眼でまっすぐにこちらを見つめながら、次のように答えた。
「大分ではナビスコカップに優勝し、リーグ最高順位は4位でした。もちろん私の夢はJ1で優勝することです。そのためにもJ2を勝ちぬかなければ、ならない。そのためにはハードワークしなければなりません。サッカーにおいて大切なのは戦術ではなく、選手だと思っています」
昨季よりも向上し、改善し、進化したい。
シーズン前のこの時期、選手やクラブは誰もがそう願い、そう誓うに違いない。
J2に降格してしまったジュビロ磐田が抱く危機感が大きいのは当然のことだ。10試合を残し、自力残留がなくなってしまった昨季。勝利の喜びやそのための執念を忘れてしまったように負け続けたジュビロ磐田が、今季掲げるスローガンは「勝!!!」だ。
「サッカーやるんなら、勝ちたいでしょ?」
日本代表について語った松井の言葉が蘇った。
勝つために何をすべきか?
その想いを体現するための闘いが始まる。