サッカーの尻尾BACK NUMBER
圧倒的得点数で2度目のバロンドール。
授賞式でロナウドが見せた涙の理由。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byBongarts/Getty Images
posted2014/01/14 11:30
右端からジョセフ・ブラッターFIFA会長とペレ、『フランス・フットボール』の社長フランソワ・モリニエール。涙を流すロナウドの足元には愛息の姿も。
あれほど声を詰まらせて涙するクリスティアーノ・ロナウドを見たのは初めてのことだった。
スイス・チューリッヒで1月13日に行なわれたFIFAバロンドール授賞式。自らの名前が呼ばれ壇上に立った彼は、まともに話をすることすらできなかった。
前回、同賞を獲得した2008年の式典を思い返してみても、彼がこれほどの喜びを見せることはなかった。よほど今回のバロンドールに賭けていたのだろう。
「本当は泣きたくはなかった。でも止めることができなかった。母はすぐ泣くんだけど、彼女が会場で泣いているのを見て、自分も泣いてしまってね。僕は氷の心を持ってるわけじゃない。あれは真っすぐな、本物の涙だった」
2度目のバロンドールを手にしたロナウドは、母国ポルトガルのメディアに涙の理由を語っている。
“黄金のボールが再びロナウドの足下に”
ポルトガル最大の日刊紙『コレイオ・ダ・マニャ』は、そんな見出しで自国の英雄を祝福していた。
タイトルを総なめしていた昨季のリベリーだが。
「ロナウドが最有力」とは言われてはいたものの、今回のバロンドールは誰が受賞していてもおかしくはなかった。
ロナウド、リオネル・メッシ、フランク・リベリーの3人とも、投票者に訴えかける何かしらの強みをもっていたからだ。
リベリーにはタイトルがあった。
彼は昨季バイエルンですべてのタイトルを手にしている。ブンデスリーガ、国内カップ、チャンピオンズリーグ、欧州スーパーカップ、そして投票期限後ではあったが12月にはクラブW杯も制した。全タイトルを制覇したクラブの中心選手。ロナウドにも、メッシにもない強力な武器だった。