サッカーの尻尾BACK NUMBER
圧倒的得点数で2度目のバロンドール。
授賞式でロナウドが見せた涙の理由。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byBongarts/Getty Images
posted2014/01/14 11:30
右端からジョセフ・ブラッターFIFA会長とペレ、『フランス・フットボール』の社長フランソワ・モリニエール。涙を流すロナウドの足元には愛息の姿も。
「世界最高の選手は誰」と問われれば?
メッシには昨季のリーガタイトルと得点王という実績もあったが、彼には何よりもこれまでの実績と知名度が作り出す好印象があった。
今でも「世界最高の選手は?」という単純な問いには、多くの人がメッシと答えるだろう。タイトル数や限定された1年間におけるプレーレベルというよりも、そんな“印象”で選手に投票する有権者も多い。それは受賞後に発表される全投票リストを見ても明らかだ。
2013年のメッシは負傷も多く、過去のレベルにはほど遠かった。しかし彼にはバロンドールを4年連続で獲得した世界最高の選手という決定的なイメージがあったのだ。
しかし、今回のバロンドールをとったのはロナウドだった。
「泣くのもよく分かるよ」とメッシも納得。
差を生んだのは、2013年にメッシとリベリーを大きく上回る69得点を取った得点数だろう。
メッシは45点、リベリーは23点と、いずれもロナウドを大きく下回っている。ここまで得点を取られると、特にゴール数が決して多くはないリベリーにとっては苦しくなる。
11月に行なわれたワールドカップ予選プレーオフでのインパクトも大きかった。スウェーデン戦の2試合で4得点を奪い、ひとりで母国をワールドカップに導いたパフォーマンスは、アルゼンチン代表でのメッシやフランス代表でのリベリーを超えるものだった。
投票が行なわれる2013年下半期におけるプレーでも、他の2人を大きく上回っていたといえる。
「ここまでの道のりは険しかったけれど、それがモチベーションにもなった。個人のパフォーマンスとしては、最高のシーズンを送ることができたと思う」
ミックスゾーンでそう語ったロナウドには、メッシも「クリスティアーノはバロンドールに値した。泣くのもよく分かるよ。息子と一緒に壇上に上がったし、感極まったんだろう」と祝福の言葉をかけていた。