サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
ついに定番コンビの牙城が崩れた!?
ボランチの序列を塗り替えた山口蛍。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/11/22 16:30
すでに欧州のクラブが獲得に興味を示しているという報道が出ている山口。この勢いを駆ってザックジャパンの起爆剤となるか!?
長谷部と遠藤という異なるタイプでも、見事に連係。
「ハセさん(長谷部)と組む場合は、ハセさんが結構前に出て行くので、自分はバランスを取っていることが多かった。ヤットさん(遠藤)は上がっていくときもあるけど、基本は真ん中でパスを受けて散らす。だから自分も前へ出て行ったほうがチャンスになると思った」
その言葉通り、遠藤と組んだ後半は、長谷部とのコンビだった前半とは違ったスタイルを見せた。
バランスを取ることだけにとどまらず、ときに前へ出て攻撃参加していく、セレッソ大阪で見せているようなスタイルだ。
高い位置でのプレーには、香川真司からの助言もあったという。
「(ハーフタイムに)真司くんが『ボランチが上がってくるとチャンスになる』と言っていた。それを聞いてより上がっていこうと思った」
前半44分に大迫勇也のゴールで1点を返した日本は、後半になるとゲームの主導権を握ってチャンスを量産。後半15分には本田圭佑のゴールで2-2の同点とすると、さらには逆転のチャンスも作った。山口のプレーにも躍動感が出てきた。
「気の利いたプレーができる」「これから後ろや前との関係も」
コンビを組んだ長谷部や遠藤に、山口はどう映ったのか。
長谷部は「蛍は気の利いたプレーができる。組む人によってやり方を変えられる選手で、うまくバランスを取ってやれる選手という印象だ」と言った。
一方、遠藤はこのように評した。
「前半は少しボールタッチが少なかったけど、後半にリズムが出てきてからは飛び出す持ち味も出せていた。そういうプレーをどんどん増やしていけばいい。まだ一緒にやっている時間は短いので、横の関係もそうだけど、これから後ろや前との関係も築いていければいいのではないか」
昨夏までセレッソ大阪でプレーしていた清武に連れられて、合宿初日に長谷部のところへあいさつに行った8月のウルグアイ戦。欧州組とのリズム感にまだ同調できないでいた9月のガーナ戦。そして、「少しは手ごたえをつかめたと思う」と話していた10月のベラルーシ戦を経て、オランダ戦では飛躍的にチーム戦術に溶け込む姿を見せた。