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上原の「息子と練習」、日本では無理?
“仕事と家族”にまつわる日米格差。 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images

posted2013/11/21 10:30

上原の「息子と練習」、日本では無理?“仕事と家族”にまつわる日米格差。<Number Web> photograph by Getty Images

ワールドシリーズ第6戦の試合前のウォーミングアップ中、外野で球拾いをしながら談笑する上原浩治投手と長男の一真くん。そして、デビッド・オルティス選手の息子、ディアンジェロ・オルティスくん。

「職場に家庭を持ち込むのは御法度」という発想。

 この風習を日本でありのまま受け入れるのは、かなり難しいだろう。

 スポーツの世界に限らず日本人の中では、職場に家庭、家族を持ち込むのはある意味、御法度だと考えられている部分があるように思う。

 日本的な視野に立てば、試合前の練習や試合後の公式会見も“就業時間内”の行事であるわけで、そこに家族という私的要素を持ち込むのは、やはり少なからず抵抗があるだろう。それを反映するように、NPBの場合ではグラウンドに家族を呼べるのは引退セレモニーなどごく一部に限られている。

 しかし、米国的立場で論じるならば、メジャー選手たちが対価として受け取っている年俸は、練習や会見を行なうことで支払われているわけではない。

 あくまでチームが勝利するために、彼らがグラウンド上で行なうパフォーマンスに対してなのだ。そして選手たちから最高のパフォーマンスを引き出すことを目的に、選手たちに心地よい環境を整える一環として家族との触れ合いの場を積極的に提供することはチームの責務といってもいいだろう。

家族の支えで発揮される最高のパフォーマンス。

 実際のところ、ワールドシリーズという一世一代の舞台に立つ選手の重圧は大変なものになる。

 そんな状況下で練習中に息子と時間を共有できたことが、どれ程上原にとって精神的な安らぎになったかは容易に想像できるはずだ。

 それは上原以外の選手にしても同様だっただろう。その結果として選手たちが肝心の試合で最高のパフォーマンスを披露してくれたわけだから、チームとしては何一つ問題がないわけだ。

 繰り返すが、こうした米国的な考え方が日本で素直に受け入れられるとは思わない。しかも、日本の場合、選手たちが芸能人やアナウンサーと結婚するケースも多く、時には選手たちのプライベートな部分が格好のニュース素材になっているという事実も無視できない。そうなってくると、日米のスポーツ・ジャーナリズムの違いにまで言及しなくてはならなくなってしまう。

 だが、選手たちが公の場に家族を連れてくるかどうかは、あくまで各選手の判断で決めること。これまで通りプライベートを表に出したくない選手は何も変える必要はないのだ。

 球団として選手のみならず、彼らの家族をケアすることが本当にチームにとってプラスに作用するのならば、日本でも勇気を持ってメジャー流を導入していくべきだと思うのだが……。如何だろうか。

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