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「おーい、ハンバーグ!」ジャマイカから来た少年・鈴木武蔵が浴びた痛烈な言葉…“シッカロール”を全身に塗りつけた日々

posted2021/04/01 11:06

 
「おーい、ハンバーグ!」ジャマイカから来た少年・鈴木武蔵が浴びた痛烈な言葉…“シッカロール”を全身に塗りつけた日々<Number Web> photograph by Getty Images

ルーツを持つジャマイカと対戦したU-17W杯(2011年)。小学校入学と同時に来日した鈴木は、当時に浴びた言葉の一つ一つを今でもハッキリと記憶している

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鈴木武蔵

鈴木武蔵Musashi Suzuki

PROFILE

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Getty Images

 ベルギーリーグ1部のベールスホットで背番号10を背負うストライカー、鈴木武蔵。先日の日韓戦とアジア2次予選モンゴル戦は怪我の影響で招集を見送られたが、森保ジャパンでは着実に出場機会を増やしている。ジャマイカにルーツを持ち、日本で育ってきた鈴木にとって「日本代表」は特別な場所。小学校時代に受けたイジメ、プロサッカー選手になっても続く誹謗中傷のメッセージ……サッカー選手として新たなステージを突き進む鈴木が、自身の半生を赤裸々に語った(全2回の前編は、ジャマイカから来日した小学生時代のエピソードです/後編はこちら)。
※本稿は『ムサシと武蔵』(徳間書店)の一部を抜粋、再編集したものです。

 1年生の頃は、みんなまだ無邪気で、何も考えずに仲良く遊んでいた。でも、3年生に上がったあたりから、周りの反応が変わっていった。

「みんな、遊ぼうよ!」

 ある日、僕がクラスメイトに声をかけると、こう返された。

「あああ、ムサシか。お前、入ってくるなよ」

 ショックだった。今まで仲良く遊んでいたはずの友達から、急に冷たい態度をとら

 れたからだ。

「何で? 僕、何か悪いことをしたかな」

 その日から僕の周りは急に冷たくなった。休み時間も放課後も、僕のそばから人が

 いなくなった。

「おーい、ハンバーグ!」

 最初は誰のことを言っているのか、わからなかった。

「お前だよ、お・ま・え。ハンバーグみたいな色してるの、お前だけだろ。でも、ハンバーグと言うよりウンコだな!」

 キョロキョロしている僕に、言葉はまるで石のように次々と投げつけられた。

「え、僕のこと?」

 顔を上げると、僕に指を差している同級生がいた。

「お前、汚いから遊びたくないんだよ」

 悲しみよりも、怒りが湧いた。

「ふざけるな!」

 僕は思わずそいつに飛びかかった。クラスは騒然とし、僕は先生に止められた。

「両方悪い!」

 僕は納得いかなかったが、そう言われてしまい、その場はいったん収まった。そして、その出来事をさかいに、同級生たちとの距離がどんどん遠くなっていくのがわかった。それが僕にとって一番嫌だった。

 言葉の投石は、さらにエスカレートしていった。

「お前、ハンバーグよりも大きなフライパンだな」

「うっわ、黒。黒くて黒板かと思ったよ」

 心ない言葉の石が、次々に浴びせられた。

【次ページ】 パス回しに入れてもらえなかった

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