中継ぎと抑えの不安を象徴する「則本－田中」リレー。

　先発陣の躍動。確かにこれは、CSのハイライトと断言してもいい。

　初戦で田中が完封劇を演じ、絶対エースの実力を堅持したのは当然のこと。第2戦の則本昂大は、勝ち負けつかなかったものの自身初の9回を投げ切り1失点。第3戦を任された美馬学もプロ初完封と、球団初の日本シリーズを賭けた大一番で、キャリア最高のパフォーマンスを発揮できたのは称賛に値する。第4戦の辛島航こそ4回4失点でKOされたが、「先発3本柱」の形成に算段がついただけでも、頂上決戦へ向けての大きな収穫といえるだろう。

　問題は、圧倒的な先発投手の力に依存してしまったことだ。

　象徴するシーンは第4戦だった。

　指揮官は、1点リードで迎えた8回に中2日で則本を、9回には中3日で田中をマウンドに送った。ふたりは、2回を無失点に抑えチームに勝利を呼び込み、期待に応えた。

　星野監督の秀逸な演出――。それは衆目一致するところだろう。しかし、3勝1敗と優位な展開を考慮すれば、総力戦に持ち込むには早すぎたのではないか。

　つまり、この継投で「中継ぎ、抑えが不安」というウィークポイントを露呈してしまった、との見方もできるわけだ。

芳しくないブルペン事情だが、役割の剥奪は早計では？

　実際、CSで2番手以降に登板した投手は、数字の面では不甲斐なかった。

　第2戦では金刃憲人がブラゼルに勝ち越し本塁打を浴び、第4戦でも長谷部康平が7回に同点打を許した。CSでの2番手以降の成績は、6回10安打、4失点、防御率6.00。本来、先発である則本、田中の結果を除けば、4回8安打、4失点、防御率は9.00と惨憺たる内容だった。

　抑えのラズナーが右ひじの故障で戦線を離脱し、中継ぎエースの青山浩二がシーズン終盤からいまいち調子が上がらずCSではベンチから外れるなど、ブルペン事情が芳しくない現状ではある。

　だからといって、彼らの役割を剥奪するのは早計だと言いたい。

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