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楽天、初の日本一へCS突破も……。
則本-田中リレーに潜む不安とは?
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2013/10/22 11:15
エース・田中はいまだ無傷を誇っているが、日本シリーズではブルペンの力も必ず必要になる時がくる。
ホームアドバンテージの1勝を含め4勝1敗。パ・リーグを制した楽天が、日本一となった2010年以来の下剋上を狙う3位・ロッテとのCSファイナルステージを制し、日本シリーズ進出を決めた。
勝敗だけで総括すれば、楽天がロッテを圧倒したと論ずることができるかもしれない。しかし、全てが盤石の元に成された勝利だったかと言えばそうとも言い切れない。
安定と不安――。
CSでは、この二面性がはっきりと表れていたからだ。
安定とは打線である。
4試合で14得点。シーズンでは12球団中2番目のチーム打率2割6分7厘、同3番目の628得点を誇った攻撃陣からすれば物足りなさも感じるだろうが、点を取るべきところで取る抜け目のなさは、やはり健在だった。
特に、クリーンナップの働きは見事と言うほかない。
銀次、ジョーンズ、マギーら主軸打者が果たした役割。
まずは3番の銀次。初戦の決勝弾こそ田中将大に「じぇじぇじぇ」と驚嘆されたように、意外な一発だったかもしれない。しかし、第4戦の2回と8回に放ったタイムリーは、自身が「常に意識しています」と語るレフト方向への打球だった。CSではチームトップの打率4割1分7厘。銀次は最後まで不変のスタイルを貫き、役割を果たした。
チームを徳俵で踏みとどまらせる主砲、4番・ジョーンズはCSでも存在感を示した。第2戦で9回に同点本塁打。第4戦でも4回に逆転アーチを放ち、チームメートに大きな活力を与えた。
そしてシーズン同様、効果的な一撃で相手の戦意を喪失させたのが5番・マギーだった。初戦の8回に見せた、ダメ押しとなる2点目のタイムリー然り。第4戦での勝利を決定づける勝ち越し弾は、本人が言うように「1試合、1試合変わらない気持ちで臨んだ結果」。自分のスイングを貫き通したことで掴んだ成果でもあった。
シーズン中と変わらぬ中軸の活躍。指揮官の星野仙一も、満面の笑みを浮かべながら「この1年を象徴している」と胸を張る。
もちろん、第3戦で決勝打を放った嶋基宏など、この4試合でスタメン9人中、実に7人もの選手が打点を挙げたことも、楽天打線の安定度を図る上で見逃してはいけない要素だ。
しかし打線は安定している一方で、投手陣はいささか不安を残した。