沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
あのオルフェが“100%の力”で完敗。
トレヴが見せつけた凱旋門の高き壁。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byTomoki Momozono
posted2013/10/07 11:35
道中馬群に完全に包まれてしまうという不利も響いたのか、それとも斤量差のせいだったのか、オルフェーヴルは直線でトレヴとの差を縮めることはできなかった。
「トレヴの強さにあぜんとしました」
スミヨンはこう話す。
「自分としてはいい騎乗ができたが、トレヴの前があくと、5馬身、6馬身と離されてしまった。斤量差もあったかもしれない」
オルフェも失速したわけではなかったのだが、トレヴから5馬身離された2着を確保するのが精一杯だった。スミヨンはつづける。
「オルフェーヴルは筋肉がついて、去年より成長している。素晴らしい馬で、100%の力を出したが、それをトレヴが上回った」
管理する池江泰寿調教師は、
「すみませんでした。期待を裏切ってしまって申し訳ありません」
と頭を下げてから、つづけた。
「トレヴの強さにあぜんとしました。直線であっけにとられて声も出せなかった」
「去年は悔しかったけど、今年は力が抜けた」
レース前「敵はオルフェ自身」と話していた。
「オルフェには打ち勝ったと思います。ただ、それ以上の馬がいたということです。同じように('08年の)凱旋門賞を無敗で勝った牝馬のザルカヴァ(フランス)に乗った騎手(スミヨン)が、『オルフェは自分が乗った馬で最高』と言っていたのだから、トレヴはザルカヴァ以上かもしれませんね。去年とはぜんぜん違う感覚です。去年は悔しくて仕方がなかったけど、今年は力が抜けてしまいました」
首差の3着はフランスダービー馬のアンテロ、キズナはそこから2馬身差の4着だった。武は言う。
「キズナ自身よく走っていたんだけど、勝ち馬が強かった。スタッフがいい状態に仕上げてくれて、今日もすごくいいコンディションだったけど、完敗でした」
'06年、キズナの父のディープインパクトで3位入線後失格となったときと違い、口調はさばさばしている。
「4着だけど、彼の強さをあらためて感じました。人馬ともに精進して、もう一度ここで戦いたいと思います。やはりここに毎年出たいし、いつか必ず勝ちたいですね」