沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
あのオルフェが“100%の力”で完敗。
トレヴが見せつけた凱旋門の高き壁。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byTomoki Momozono
posted2013/10/07 11:35
道中馬群に完全に包まれてしまうという不利も響いたのか、それとも斤量差のせいだったのか、オルフェーヴルは直線でトレヴとの差を縮めることはできなかった。
来年、またここで会いましょう。
管理する佐々木晶三調教師も、完敗だったと振り返る。
「これだけキッチリやっても世界のタイトルを獲れないということを、現時点で思い知らされました。いいレースをして、いい根性を見せてくれましたが、その前に3頭いた、ということです。それでも、この遠征は失敗ではなく成功だったと思います」
確かに「壁」を崩し切れずに終わったが、白旗をあげたわけではないと池江は言う。
「日本の馬は、着実に凱旋門賞を勝てるところまで来ています。ただ、ヨーロッパは層が厚くて、トレヴのような馬が出てくるんですよね。とにかく、このレースを勝たなくてはならない。勝てないレースではない。もっと強い馬を育てて再チャレンジしたい。そのために、また明日から頑張ります。来年、またここで会いましょう」
両馬の陣営が口をそろえるように、今回はトレヴの強さに圧倒されて終わった。
しかし、世界の頂点に近づいていることは確かで、オルフェ、キズナ陣営ともに近づく手法を自分たちのものにしているし、日本にはほかにも世界に通用する人馬がいる。
日本の人馬が世界トップクラスであることを「凱旋門賞制覇」という形で証明してくれる日を、待ちたい。