スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
世界総スペイン化の陰で本国に異変?
リーガからの人材流出が止まらない。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byAFLO
posted2013/08/06 10:30
6月のコンフェデ杯では、ウルグアイ戦で決勝ゴールを決めるなど活躍したソルダード。
今やスペインは世界屈指の人材輸出国となった。
翻ってスペイン国内に目を向けてみると、聞こえてくるのは不況や未払い、八百長といったお金がらみのネガティブな情報ばかりであることに気づかされる。
景気の良い話が聞こえてくるのは、移籍金5700万ユーロでネイマールを獲得したバルセロナ、そして1億ユーロ超のオファーでギャレス・ベイル獲得に本腰を入れはじめたレアル・マドリーだけ。残る18チームの大半は今も経営再建のさなかにあり、レンタル移籍や移籍金ゼロでの補強に頼らざるを得ない状況が続いている。
今やスペインはかつてのブラジルやアルゼンチンのように、世界屈指の人材輸出国となった。先出のカルバハル代理人は言う。
「レアル・マドリーとバルセロナ以外のクラブに所属している代表選手達が、数年内に全員国外でプレーするようになる。十分にあり得ることだ」
伝統的に内弁慶な選手が多かった以前とは違い、近年は各ユースカテゴリーの代表がワールドカップやヨーロッパ選手権の舞台で目覚ましい活躍を遂げるようになった。その反面、リーガにおけるスペイン人選手の空洞化は気になるところだが、今のところその穴は将来有望な若手選手の台頭で補われている。
いずれにせよ、今後もしばらくはバルセロナ、レアル・マドリーの2強独占体制に変わりはないだろう。移籍市場の締め切りまであと1カ月弱。まだまだ人材の流出が続きそうだ。