サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
東アジアカップで躍動した“国内組”。
ロンドン五輪世代、A代表への道程。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/07/31 10:31
中国戦と韓国戦にフル出場、オーストラリア戦でも厳しい時間帯に投入されたことを考えれば、山口螢(写真右)へのザッケローニ監督の信頼度は高い。代表への定着を見据えて更なる進化を期す。
ロンドン五輪落選組の原口元気は「飢えている」。
「最後のゴールを生んだプレーは凄い」と齋藤から絶賛された原口元気は、ロンドン五輪落選組だ。「あの悔しさは忘れない」と胸に刻み、再度A代表に戻ってきた。
「自分はロンドン五輪に行けなかった。でも、そこからどうするかで選手の価値って決まると思うんです。南アフリカW杯は北京世代が活躍して、今に繋がっている。ロンドン世代もブラジルW杯で活躍していかないといけないと思う。今回は、そのラストチャンスだと思っています。だから、ゴールにこだわってプレーしたいですね」
しかし、原口の想いは虚しく、中国戦では最低限のプレーはしたが、持味を十分出したとは言えなかった。韓国戦は、ほとんどの時間、守備に忙殺された。
「最後のシュートは決めたかった。89分、守備しかしていなかったし、あのワンチャンスだけだなって思っていたんで。でも、柿クンが決めて、持っているなって思いましたね。点は取れなかったですけど、収穫はたくさんありました。ザックさんの戦術を試合に出ることでより理解できたのは、ポジティブにとらえています。それに今回は、チームメイトに助けられました。韓国戦の苦しい時間帯に、『最後、必ずチャンスあるから守備頑張ってくれ』って言われて、頑張っていたら最後、本当にワンチャンスが来た。守備を頑張れば、チャンスはくるんだなっていうのを改めて実感しました。代表は……これから海外組が来て、どうなるかですね。でも、今回の優勝でその中に食い込んでいける要素にはなったと思いますし、そうなっていかないと。自分は飢えているんで」
原口は、そう言って表情を引き締めた。
A代表初招集ながら大会MVPの活躍を見せた山口螢。
今回、初招集ながら一気に株を上げたのが、山口螢だった。オーストラリア戦の途中出場を始め、全3試合に出場。それは監督の期待の表れといっても過言ではない。
「どの試合もロンドン五輪のメンバーがいたんで、コミュニケーションとかの部分では問題なかった。ただ、難しかったのは監督に求められるものがあるんで、自分の持味を出し過ぎると怒られること。例えば、自分は前にガッツリ行ってボールを奪いたいけど、代表ではボールを取り切るというよりプレーをやらせない感覚なんでね。そういう中で自分の良さをどう出していくか、ですね」
いろいろ逡巡はあっただろうが、韓国戦ではの運動量と身体を張った守備は際立っていた。それが優勝や大会MVPにも繋がった。