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香川のドルトムントがついに首位!
ブンデス制覇を狙える4つの理由。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2010/10/24 08:00
ずいぶんと時間がかかったものだ。
ドルトムントがついに単独首位に躍り出た。実に、2624日ぶりのことである。
第8節、開幕から連勝を続けていたマインツがハンブルガーSVに敗れたため、勝ち点で並び、得失点差で上回った。20得点、6失点も、ここまでリーグ最高の成績だ。
チーム一のお調子者で、試合後には拡声器を持ってファンの前に出ていくグロースクロイツは本音をもらした。
「僕らは優勝を夢見ているんだ! あまり大声では言わないけど……」
この快進撃にファンはもちろん、ドイツメディアも興奮を隠せないようだ。
「ビルト」紙は扇情的な表現で、ドルトムントの復権を伝えた。
「ドルトムントのアタッキング・フットボールがリーグを制圧した」
香川というスマッシュヒットを得た大成功の選手補強。
ドルトムント好調の要因は、大きくわけて4つある。
まず、挙げるべきはシーズン前の補強策が成功したということ。
ドルトムントはチャンピオンズリーグの収入を見越した無茶な補強がたたって、'04-'05シーズンには経営破綻の危機に陥っていた。6年たった今でもその傷跡は残っており、補強資金には限界がある。今オフに費やしたのは約6億5千万円で、リーグ9番目に過ぎない。最も多くの補強費をかけたヴォルフスブルクや同2位のシャルケの約7分の1の金額だった。
およそ4000万円で獲得した香川が最大の「ヒット」であることに異論の余地はないし、ヘルタ・ベルリンから移籍金なしで獲得したピスチェクは左右両サイドバックの貴重なバックアッパーとなっている。レギュラー候補として獲得したレバンドフスキが誤算ではあるが、とはいっても途中出場7試合で2ゴールを決めている。さらに、下部組織から昇格してきた、「ドイツの至宝」マリオ・ゲッツェは1ゴール、3アシストを記録し、右MFのレギュラーポジションに手をかけつつある。