コンフェデ杯通信BACK NUMBER
「これは本当の日本の姿じゃない」
なぜブラジル戦で完敗を喫したのか?
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/06/16 12:15
「まぁ今日の試合は完敗なんで。自分たちの実力をちゃんと認めて、あとの2試合を頑張るしかないですよね」と、試合後の悔しさを内に秘めつつも、淡々と語っていた本田。
歓喜するブラジル代表の面々を前に、ザッケローニは立ち尽くしている。その少し後ろで、本田圭佑はひとりベンチに座って呆然とピッチを眺めていた。
「怒りというよりも、失望の気持ちの方が大きい」
指揮官は堅い表情でそう語り、本田は「完敗」と、ブラジル相手に0-3と歯が立たなかったことをあっさり認めた。
10月のポーランドで喫した0-4の大敗から8カ月。親善試合とは違う、真剣勝負の舞台でブラジルと再戦した日本にとって、コンフェデレーションズカップ初戦は世界との差を確認する場でもあった。しかし縮まったのはわずかな点差だけで、内容ではその差はさらに広がっているようにさえ感じられた。
長友佑都は言う。
「レベルが違いました。すべてにおいてのレベルが違ったかなと。もう、悔しい気持ちを通り越しているというか。去年の10月に比べて差は変わってない。むしろ開いているかなというレベルかなと思います」
頭には10月の大敗があったはずだが、ザッケローニのアプローチは決して守備的なものではなかった。
岡崎を1トップに置き、2列目には清武、本田、香川を並べ、ポゼッションを重視するメンバーを選んでいる。アンカーを入れるわけでも、システムを変えるわけでもなかった。そこにはブラジルを相手にもゲームのイニシアチブをとろうという狙いがあった。
日本は最後まで攻めの形を作れないまま、試合を終えた……。
しかし早すぎる失点は指揮官のプランを狂わせ、チームにも精神的影響を与える。
前半3分、左サイドからのクロスをフレッジが落とし、ネイマールが、抑えた綺麗なボレーを右隅に決める。
「早すぎる3分の失点に動揺してしまった」と指揮官は振り返る。
その後日本は同点を狙いにいくが、複数の選手が絡んで崩していく、日本の攻めの形は一向に作れない。目立つのは本田の遠目からのミドルシュートくらいで、前へ仕掛ける姿勢も薄く、精神的にもブラジルに優位に立たれていた。