野ボール横丁BACK NUMBER
ダルビッシュとの“お見合い”が破談。
大野に求められる理想の女房役とは?
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2010/09/06 12:20
大野は本当に度量の大きな「母ちゃん」になれるのか?
鶴岡は、いかにも人のよさそうな口振りでこう言う。
「首を振られるのはぜんぜん気にならない。ピッチャーに気持ち良く投げてもらうことがいちばん大事なんで」
一方の大野は、ダルビッシュに対してということではないが、自分の存在感を示すかのようにこう話していたことがある。
「たとえ首を振られても、その球種で押し通すことがある」
まさに両極端だ。
どちらも一長一短だが、ことダルビッシュに関しては、鶴岡の方がフィットするというのもわかる。
楽天の投手コーチで、かつて日本ハムの投手コーチを務めていた佐藤義則はダルビッシュの特徴についてこう説明する。
「ダルビッシュの中に、普通のピッチャーがいうような配球という感覚はないよ。そのとき、そのときで、自分が投げたいボールを投げているだけ。でも、それで抑えちゃうんだから。それでいいんじゃないの」
ある意味、捕手を無力化させる投手だといえなくもない。要は、大野がそれを許容できるかどうかだ。
本当に度量の大きな「母ちゃん」というものは、夫を尻に敷く振りをしつつ、三歩下がって夫についていくこともできるものだ。その逆もしかり。
大野に本当の意味での自信がついてくれば、その両極を演じられるようになるはずだ。だが、それにはまだ少し時間がかかりそうだ。