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激戦必至のコッパ・イタリア決勝!
ローマを包む史上初ダービーの熱狂。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2013/05/22 10:50
オリンピコ・スタジアムで発炎筒を焚くローマのサポーター。
ローマ法王や大統領もオリンピコの決闘に熱く燃える。
ダービーをめぐる過熱ぶりには、バチカンも黙ってはいられない。熱心なサッカーファンである新ローマ法王フランシスコ1世が何とダービーに自ら介入。決勝前の22日に、両チームの会長と監督、主将を集め、特別謁見によって、フェアプレー精神の相互尊重やサポーターたちへ友好的な観戦を訴える。これに刺激されたのか、87歳の御大ナポリターノ大統領までもが、24日に内閣府へ両チームを招集し、激励する事態に。
これらの権威筋が出てきたことによって、決勝戦には「法王&大統領公認」の箔までついた。“よけいヒートアップしてしまうのでは……”とは言いっこなしだ。
先日、'60年代のラツィオで活躍した元選手を取材した折、ローマダービーの話になった。
「ダービーはシーズンの単なる1試合ではありえない。ひどい喧騒もある。物も降ってくる。それも含めてダービーなのだ」
'60年代も現在も、ダービーの熱は不変だろう。数年前のダービーからの帰り道、オリンピコに近いミルビオ橋で、火炎瓶を投げられたことを思い出した。ガラスがバンッと弾け、火が走るのを見た。
シーズンを締めくくる首都決戦が、永遠の都に熱を呼ぶ。オリンピコを制す者が欧州の舞台へ行けるのだ。