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「カマダより戦術が何よりも優先された」“プレミア移籍ほぼ確定”鎌田大地の不遇をイタリア人記者が惜しむ「誰もが評価した、彼の姿勢は」
posted2024/06/20 17:00
text by
ルカ・ビアンキン/ガゼッタ・デッロ・スポルトLuca Bianchin / La Gazzetta dello Sport
photograph by
Nicolò Campo/Getty Images
不朽の名作、フェデリコ・フェリーニ監督の『甘い生活』やオードリー・ヘップバーンが主演した『ローマの休日』では、イタリアの首都は美しく澄み切った夢のように描かれている。
だが鎌田大地からすれば、ローマはひどく複雑な街に感じられたことだろう。
王者ナポリ相手に値千金の決勝点を奪ったのに
ある者が彼を温かく迎えたかと思えば、ある者はこの日本代表プレーメーカーを見限った。現在27歳のMFはラツィオで主軸を担う力を持っていたが、その9カ月間に実力を存分に発揮することはなく、最後は苦い終焉を迎えている。
過去にセリエAを2度制した首都の名門と鎌田は昨夏、2024年までの1年契約を結んだ。ただし当初は、ACミランに加入するものと見られていた。ミランのテクニカル・ディレクター、パオロ・マルディーニがこの日本代表MFを欲しがり、移籍を進めていくと目されていたが、ミランがマルディーニを更迭したことで破談に。
すると鎌田は同じイタリアのラツィオを選択した。カルチョを愛する人々はこの優れたトレクアルティスタの能力を知っており、自ずと期待は高まった。
しかし当時のチームを率いていたマウリツィオ・サッリ監督は、序盤戦こそ鎌田を先発起用したが、徐々にその序列を下げていった。9月2日のセリエA第3節の敵地での王者ナポリ戦では、このニューカマーが値千金の決勝点を奪っているというのに。
次第に指揮官はこの日本人MF──徐々に日本代表から招集される頻度も減少傾向に──ではなく、マッテオ・ゲンドゥージを中盤のボスに選ぶようになっていった。鎌田は先発から控えとなり、新年に入ってからは、ベンチに座ったまま試合を終えることも少なからずあった。
サッリも鎌田を認めたが…“戦術最優先”という事実
3月に成績不振で解任されたサッリの後任にイーゴル・トゥードルが就くと、鎌田の状況は劇的に変わった。