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激戦必至のコッパ・イタリア決勝!
ローマを包む史上初ダービーの熱狂。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2013/05/22 10:50
オリンピコ・スタジアムで発炎筒を焚くローマのサポーター。
5月最後の週末が近づくにつれ、ローマっ子たちは気もそぞろだ。26日に行われるコッパ・イタリア決勝戦が、いよいよ一大事となってきた。
ファイナルに勝ち上がったのは、決勝会場の「オリンピコ」をホームとする首都の2チーム、ローマとラツィオだ。
ローマダービーが史上初めてのタイトル決定戦となることに、双方の意気は上がる一方だ。さらに、大会優勝チームにはEL(ヨーロッパリーグ)出場権が与えられることで、勝つべき理由により一層重みが増した。今季リーグ戦で思わぬ低迷に終わったローマとラツィオにとって、欧州カップ戦へのチケットは喉から手が出るほど欲しい。
前日25日には英国・ウェンブリーでチャンピオンズリーグ決勝が開催されるが、永遠の都はそれどころではないのだ。
史上初のダービー決勝戦にローマの面々は気合い十分。
65回の歴史を誇るコッパ・イタリアで、優勝9回の最多タイ記録と17回の決勝進出回数を誇るローマの強さは際立っている。今年は、クラブが一昨年に米国資本下に入って以降、初めての戴冠チャンスだ。
ピッチ上で“ローマ・アメリカーナ”を体現しているのが、今季から新加入したUSA代表MFブラッドリーだ。海兵隊を思わせる精悍なプレーで中盤を支えてきた。勤勉な彼は「今季のチーム順位には満足していない。その分、ファイナルでは全精力を尽くすよ」と語っている。
一方で生粋のローマ育ちである主将トッティは、4月の対戦(1-1)で同点PKを決め、クラブのダービー最多得点記録「9」に並ぶと、「数ある俺の記録の中でもとびきり嬉しい」と喜び勇んだ。ダービーマッチが持つ重さを誰より感じているトッティは、今大会最多5得点を挙げ“カップ戦男”となりつつある若きイタリア代表FWデストロを始め、チーム全員へ発破をかける。
「ダービーの決勝戦なんて、こんな機会は二度とあるもんじゃない。こりゃ、負けるわけにはいかないぜ!」
ローマは2月に前監督ゼーマンを解任、後任のアンドレアッツォーリ体制でも下位相手の取りこぼしが響いた。セリエA最終節でラツィオをうっちゃり、6位になったものの不満の残るシーズンになった。2007年と2008年の連覇以来遠ざかっているコッパのタイトルは是が非でも獲りたい。