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“日本らしさ”か“アジア最強”か?
ACL敗退が続くJリーグ勢の実状とは。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2013/05/09 10:31
アウェイの地で北京国安に2-1で負けた時の広島。昨季のJ王者は、6試合で0勝3分3敗とし、ACLグループリーグで姿を消した。
Jリーグ勢に欠けているのは勝利に対する貪欲さだ。
内容と結果の両立を求めるのは、もちろん悪いことではない。気になるのは、対戦相手の意識との隔たりだ。
中国やタイのクラブは、割り切った戦いをすることにためらいがない。ファウル覚悟の激しさも、あからさまな時間稼ぎも、勝点奪取への有効な手段との位置づけだ。少しぐらい不格好でも相手を追い詰められるなら、彼らはリアリストに徹する。
Jリーグ勢は違う。
日本国内で評価されるようなサッカーで、つまりは自分たちのサッカーで、勝点をつかもうとする。異なる価値観を持った海外のチームとの対戦に、Jリーグ同士の戦い方を当てはめようとしている。
何がなんでも勝つんだという意欲と実際のプレーが、重なり合っていない。ACLでムキになることへの含羞の色が、どのチームにも浮かんでいるように思える。もっとムキになるべきと考えるのは、僕だけだろうか。
ACLに限れば、韓国との差は開くばかりだ。中国も存在感を強め、タイも無視できなくなってきた。クラブにおける力関係は、遠からず代表にも及んでいく。ACLにおけるJリーグ勢の凋落を、近未来への危険信号として重く受け止めなければならない。