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“平成生まれの名勝負”の予感――。
中田翔vs.菊池雄星の濃密な対決。 

text by

氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/05/07 12:45

“平成生まれの名勝負”の予感――。中田翔vs.菊池雄星の濃密な対決。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

5月5日、西武vs.日本ハム戦の1回表。この試合最初の対決では、中田をショートへの併殺打に打ち取った菊池。

100球を超えていた菊池に、4度目の対決が回ってくる。

 初球は125キロのチェンジアップ。

 中田は見逃したが、ストライクのコール。これが前日、菊池が言った「変化球でカウントを稼げる」ということなのだろう。2球目、146キロのストレートをインコースに投げ込むが、判定はボール。3球目もインコースのストレートだった。

 今度は中田が強振。中堅方向へ飛んだために日ハム応援スタンドから歓声が飛ぶも、中田の走る姿からして会心の打撃ではない。結果はセンターフライだった。

 3度目の対決も2死走者なし。

 菊池は初球にチェンジアップでストライクを取ると、2球目にはインコースにスライダーを投げた。これに中田はバットを合わせてしまう。

 結果はショートフライ。菊池の完勝だった。

 8回を終えて、菊池の球数は100球を超えていた。2人の対決はここで終えてもおかしくはなかった。

 ところが、9回表を迎えて2-0の試合は、菊池をマウンドから下ろすことを許さなかった。

 西武ベンチからすれば、前日に救援陣が打ち込まれていたという事情もあっただろう。菊池は自身2度目の完封を目指すことになった。

 そして、9回表一死一塁という場面で、菊池対中田の4度目の対決が実現する。

無理に長打を狙わなかったことそのものが、中田の「4番」の証。

 一発出れば同点でもあるし、次につなげれば、今季これまでに中田を上回る9本塁打を放っているアブレイユが控えている。

 菊池はインコースにストレートを投げ込んだ。

 今度は、中田がレフト前へはじき返した。

 一発出れば同点の場面、こういう場面でスタンドに放りこんでこそ「本物の4番」という声もあるが、あの場面で無理にホームランを狙わずにつないでみせた中田こそ、4番としての真価を発揮したのだ、という見方もできる。4度目の対決は中田が一矢を報いた形になった。

 だが、続くアブレイユが三塁ゴロの併殺打。中田のつなぎもむなしくゲームは終わった。

 菊池は9回5安打7奪三振。今季二度目の完封勝利を挙げた。

【次ページ】 饒舌に試合を振り返った菊池に、淡々と答えた中田。

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