野球善哉BACK NUMBER
“平成生まれの名勝負”の予感――。
中田翔vs.菊池雄星の濃密な対決。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/05/07 12:45
5月5日、西武vs.日本ハム戦の1回表。この試合最初の対決では、中田をショートへの併殺打に打ち取った菊池。
「村山vs.長嶋」「野茂vs.清原」らの名勝負に続くか?
古くは「村山実vs.長嶋茂雄」があり、少し前には「野茂英雄vs.清原和博」、「松坂大輔vs.イチロー」という名勝負があった。
中田が言うように、野球はチームスポーツだ。
しかし、チームスポーツでありながら、その中で垣間見られる個と個の真剣勝負が野球ファンを魅了してきたことは間違いない。
昨今は、そうした対決があまりないと言われている。プロ野球の観客動員数減少の理由とまでは思わないが、その白熱した個のぶつかり合いの少なさが、野球ファンを寂しくさせているのも事実だ。
5月5日は「こどもの日」だった。
東京ドームでは松井秀喜氏の引退セレモニーがあり、松井氏と長嶋茂雄氏の国民栄誉賞授賞式が行われた。名古屋ではDeNAの中村紀洋が2000本安打を達成するなど、一時代を築いた球界の先輩たちの偉大さを改めて知る日でもあった。
だが、2人の対決があった西武ドームも負けてはいなかった、と言いたい。
満員のファンが詰めかけ、2人の対決をシッカリと記憶にとどめたはずだ。
菊池vs.中田。
平成になって生まれた2人の対決が、新たな名勝負の誕生を予感させる――。
西武ドームには、そんな空気が漂っていた。