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“平成生まれの名勝負”の予感――。
中田翔vs.菊池雄星の濃密な対決。 

text by

氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/05/07 12:45

“平成生まれの名勝負”の予感――。中田翔vs.菊池雄星の濃密な対決。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

5月5日、西武vs.日本ハム戦の1回表。この試合最初の対決では、中田をショートへの併殺打に打ち取った菊池。

自信を漲らせた2人が激突した、5月5日の西武ドーム。

 試合前日の2人の言葉は、お互いの良い雰囲気をそのまま物語るものだった。

 まず、菊池のコメント。

「すごく好調というわけではないですけど、ストレートで空振りを取れるようになったのが去年までとの違いだと思います。変化球も球種が増えて、カウントを稼げるのが大きいです。開幕して1カ月が経ちましたけど、疲れはありません。こんなところで疲れているようじゃ、1年は持ちませんから。それに、まだ自分自身も、少しずつ良くなっている部分もあります」

 一方の中田は、3安打した4日の試合後にこう話していた。

「3本塁打を打った次の日に、ヒットが3本も打てたわけやから、特に、変わらずにやれているということだと思う。ピッチャーによってフォームを変える必要もないしね。どんなピッチャーでも、自分の間合いで打てているというのはある」

ストレートとフルスイングの真っ向勝負に、西武ドームがどよめく!

 そんな2人の対決は1回表から始まった。

 日本ハムは先頭の陽岱鋼が内野安打で出塁、犠打で二進のあと、3番小谷野栄一が四球で歩き、1死一、二塁の好機を作った。

 一塁は空いていない。

 菊池に逃げる気など毛頭なかったとは思うが、否応なく逃げる場所もないという場面で2人は相対した。

 その初球――。

 菊池が渾身の141キロのストレートを投げ込み、中田はフルスイングで応戦した。

 どよめく西武ドーム。

 ストレートとフルスイングの真っ向勝負に白熱するのも無理はない。

 ボールは西武の捕手・炭谷銀仁朗の要求したインコース高めよりやや中に入ったが、中田のバットは空を切った。2球目も菊池はストレート。フルスイングの中田は捉えたかに見えたが、やや差し込まれ遊ゴロ併殺打。1度目の勝負は菊池が勝った。

 2度目の対決は、3回表二死走者なしでの場面。

 2回裏に、西武が坂田遼の本塁打などで2点を先制。試合はそのまま西武が2-0でリードしていた。これから中盤という試合展開。2点差があるとはいえ、一発で流れを変えられてもおかしくはないという場面ではあった。

【次ページ】 100球を超えていた菊池に、4度目の対決が回ってくる。

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