饒舌に試合を振り返った菊池に、淡々と答えた中田。

　饒舌だったのは、当然、試合に勝利した菊池の方であった。

「中田さんの最後の打席は、ホームランにならなくて良かったなというのが正直なところです。（投げたボールが）甘かったと思います。今までは僅差の試合展開だと交替させられていたのですが、今日は信じて続投させてもらえた。今季は完封をしていますけど、前回は点数が離れていたので、僅差の中で完封できたのは自信にしていきたい」

　中田は淡々と試合を振り返った。

「今日の試合は打ち損じが多かった。併殺打はいい打球だったかもしれないけど、いい打球でも、そうじゃなくても併殺打は併殺打。ヒットを打っても負けたら意味はないしね。最後の打席は“長打を打ってやろう”とか、何も考えずに打席入りました。角度が付いてくれば打球も上がるだろう、くらいの気持ちだった。（菊池は）もっとチェンジアップを投げてくると思った。かといって、チェンジアップを狙う気はなかったけど、思った以上にストレートが多かったなという印象ですね。自分のスタイルを崩さずに打ちにいっての結果だからしょうがない」

「いいピッチャーなのは間違いない」「4番を乗せると勢いづくので」

　現時点では2人が互いを特別に意識しているというほどではないかもしれない。

　2人が振り返ったのは、あくまで今日の試合であり、「対中田」「対菊池」ではない。むしろ2人のコメントからは、対戦相手としての「4番」と「投手」という言葉が強く伝わってくる印象だった。

　中田は菊池に対して、こうコメントしている。

「誰か1人のピッチャーを意識するということはないですね。野球ってそんなもんじゃない。チームスポーツだから。（菊池は）はまった時のストレートはすごくいい球を投げる。いいピッチャーであることは間違いないと思う」

　菊池の方は、相手をこんな風に評していた。

「中田さんの最初の打席で空振りを取った場面は気持ち良かったですね。中田さんは4番なので……（中田ということではなく）4番を乗せると打線は勢いづきますから。4番を抑えなきゃという気持ちはあります。ただ、抑えたといっても、三振は取れていませんし、まだチェンジアップとスライダーを使いながら抑えている。ストレートでしっかり三振が取れるように、ステップを踏んでいきたい」

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