欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
CL前のクラシコ連戦でレアルに完敗。
絶不調のバルサは立ち直れるのか?
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byReal Madrid via Getty Images
posted2013/03/03 13:15
先制となった前半6分のベンゼマのゴールシーン。バルサの守護神、ビクトル・バルデスはこの日、後半49分に立て続けにイエローカードを受け、累積警告で退場処分となってしまった。
サンティアゴ・ベルナベウの地下にある会見場の扉が開いたのは、試合終了から30分が経過しようという頃のことだった。
壇上をゆっくりと歩くジョルディ・ロウラの表情は、いつになく曇っている。
この日バルサはレアル・マドリーに1-2で敗れ、4日前のスペイン国王杯準決勝に続く、クラシコ2連敗を喫した。
精神面でチームは落ち込んでいるのでは? という質問に、監督代行はこう答えている。
「結果は残念だが、ベルナベウで試合をするのは簡単なことじゃない。チームのパフォーマンスにはとても満足している」
しかし彼の表情は、とても満足しているようには見えなかった。暗い表情を浮かべたロウラの言葉は、取り巻く不穏な空気をなんとか取り払おうと、自らに言い聞かせているようでもあった。
国王杯での完敗に続き、美しく攻撃的なバルサの姿はなかった。
4日前のカンプノウ、スペイン国王杯準決勝。詰めかけたホームの観客も、ベンチに座るコーチ陣も、信じられないという表情で、もう勝敗が決まってしまった後半の残り時間をぼんやりと眺めていた。
スコアは1-3だ。目の前には、ここ数年間でカンプノウが目にしてきた、美しく、攻撃的なバルサの姿はなかった。メッシはボールロストを繰り返し、シャビは試合から消えていた。マドリーはロナウドのPKにより先制すると、さらに2点を決め、後半半ばで試合に決着をつけた。
試合後、バルサの選手たちは「土曜日の再戦では巻き返す」と口々に言ったが、ベルナベウのピッチにもかつてのバルサの姿はなかった。
高い位置からプレスをかけてくるマドリーに対し、バルサは後方で無意味にパスを回す時間帯が続く。昨季まではそんなプレスをもかわし、次々とマドリーの選手間をついていったが、この試合でそんなシーンがみられたのは一度もなかった。