MLB東奔西走BACK NUMBER
名投手シリングの“告発”の行方は?
薬物疑惑をもみ消すMLBの隠蔽体質。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2013/02/23 08:01
レッドソックスの薬物問題に関して、2008年チーム在籍当時の話を証言したカート・シリング氏。過去、最多勝利2回、最多奪三振2回、ワールドシリーズMVPに輝くなど、メジャー屈指の名投手である。
再び業界を揺るがすような一大スキャンダルに発展か!?
実際MLBは、ステロイド疑惑が巻き起こった1990年代後半の頃、IOCで指定している禁止薬物の使用を認めていたほど、薬物には無頓着な姿勢を貫き、世間からの非難を浴びた。その後、連邦議会の薬物問題に関する公聴会でバド・セリグ=コミッショナーが無責任な発言を叱責されるなどして、ようやく薬物追放に舵を切り替えたという過去がある。
今年1月にコミッショナーが、これまでの尿検査ではチェックできなかったHGH(ヒト成長ホルモン)を取り締まるため、今シーズンから血液検査の導入を発表したが、今回の騒動はその矢先に起こった。
ここまでの対応を見る限りでは、MLBの体質は以前と大きく変わってないようにも思えるが、現在調査中のロドリゲス選手らの使用疑惑の裁定次第では、再び世間から非難を浴びるような一大スキャンダルに発展する可能性も十分にあるだろう。
まずは今後の状況を見守っていくしかない。