WBC 侍ジャパンの道BACK NUMBER
山本監督が優先したもの捨てたもの。
WBC先発予想オーダーはこうなる!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2013/02/21 11:45
選手選考の最後の判断材料となった紅白戦でのひとコマ。左から、澤村、杉内、攝津、森福ら、代表メンバーの投手たちが揃って笑顔を見せていた。
では、1点を争うような場面では誰を使うのか?
2人の落選理由の1つには外野がオリックス・糸井嘉男、巨人・長野久義、日本ハム・中田翔(またはソフトバンク・内川聖一)とポジションが固定されており、それぞれ守備力も高く、糸井、長野は俊足ということがあった。
ただ、最終的に決め手となったのは、やはり目下の首脳陣の最大の悩みの得点力不足にあったようだ。
広島との強化試合では結局、わずか3安打の無得点。20日の紅白戦も1対1の引き分けと点がとれない打線をどう構成するかが選考にも影響している。そのため、同じ外野手では「バットの出が早く、代打だけではなくスタメンの可能性もある」というロッテ・角中勝也が打力優先で抜擢された。
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逆に大島と聖澤との打力の比較で残ったのがソフトバンク・本多雄一だった。
本多は守備面での不安を指摘する声もあったが、打力に加え'11年のパ・リーグ盗塁王で、いざというときの代走要員もこなせることからメンバー入りが決まった。
また同じ内野手では合宿前に右手中指の爪を割った村田が落選した。こちらはコンディションだけではなく、同じ右の長距離砲としては中田と役割がかぶり、ポジション的にも三塁しかできないために選から漏れた。
前田は第1ラウンドを回避してもコンディショニング最優先で調整。
一方、17日の強化試合で広島側の先発として登板したものの、体調面で疑問符のついていた広島・前田健太は「状態は徐々に上がってきている」(山本監督)と滑り込みでメンバー入りが決まった。
前田の場合は当初から先発の柱として計算されている投手。現時点では肩の状態も万全ではなく、不安は残っているが、第2ラウンドから準決勝、決勝と勝ち進んでいった場合には、絶対に必要な戦力という判断だった。そのため当面はコンディショニングを優先させて、場合によっては第1ラウンドの登板は回避してでも最終的な戦力にしようということでメンバー入りとなった。
第1ラウンドは球数制限が65球と少ないことから、“第2先発”を含めて1試合に2人の先発要員を用意。
第1戦に楽天・田中将大と巨人・杉内俊哉、第2戦に前田と巨人の内海哲也、第3戦は巨人の澤村拓一、西武・涌井秀章、阪神・能見篤史らの登板が決まっていたが、前田の状態次第では第2戦に能見を先発させて右の涌井を第2先発に起用する代替え案なども検討されている。
またクローザーに期待されていた浅尾の落選で、改めて抑え役の選任も今後の課題になる。首脳陣は日替わりではなく誰か一人に固定する方針で、候補としてはリリーフ経験のあるソフトバンク・攝津正、西武・牧田和久、広島・今村猛らの名前が挙っている。