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中村憲剛の知られざる“仕事”が
日本代表を決勝T進出に導く! 

text by

矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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photograph byNaoki Nakanishi/JMPA

posted2010/06/21 11:30

中村憲剛の知られざる“仕事”が日本代表を決勝T進出に導く!<Number Web> photograph by Naoki Nakanishi/JMPA

「上に行くチーム」の雰囲気を“演出”した中村憲。

 とは言え、先発メンバーの表情が明るいのはある意味自然なこと。それ以上に良い雰囲気を作っているのはサブメンバーも含めた『和』だ。

 中でもいい“仕事”をしているのは中村憲剛である。カメルーン戦前には、攻撃の選手数人に声を掛け、「ゴールしたら俺のところに来い」と約束を交わしていた。結果、本田が得点を挙げ、あの抱擁シーンが生まれた。

 中村憲は言う。

「そういう絵ってチームが盛り上がるじゃないですか。歴代のワールドカップで上に行くチームは、みんなああいう雰囲気になる。点を取って中の選手だけで喜ぶんじゃなくて、そういう一体感の中に自分がいたこともうれしかった」

 ある時期は岡田監督に「日本のジェラードになれ」と言われ、レギュラーの座を手にしていたほどの選手だ。2試合を終えてまだ出番がなく、相当なストレスを感じているだろうに、そういった中でも笑顔すら見せる精神力は素晴らしい。

気になるのは本田の口数がめっきり減ってしまったこと。

 これには闘莉王も感激している。

「ベンチのメンバーが非常にいい気持ちでピッチに送り出してくれる。だからこそ、チームとして機能している。出ていない人たちのぶんも僕らは頑張ろうと思ってやっていますよ。それに、その人たちが出てくれば必ずいいプレーをしてくれると信じています。チームとしてはうまい具合に、いい方向に向かっていると思います」

 唯一気になるのは、取材エリアでの本田の口数がめっきり減ってしまったことだが、これには彼なりの理由があると思われるので、ここでは触れないことにする。もっとも、長友とは相変わらず熱く語り合ったり、絡み合ったりしているとのこと。チーム関係者も「1戦目で得点したからと言って変わったそぶりは何もない」と話している。

 主力選手が監督批判をしたカメルーンはグループリーグ敗退が決まり、自力での決勝トーナメント進出が消えたフランスは、暴言を吐いたアネルカを強制送還した。ピッチ外のムードは思った以上に成績に直結するもの。デンマーク戦へ向け、岡田ジャパンにはこのムードをさらに高めていってもらいたい。

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