プロ野球亭日乗BACK NUMBER
なぜ統一球でキューバと戦った?
WBC本番に不安を残した2連勝。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2012/11/19 11:40
第1戦で先発したソフトバンクの大隣憲司。2回を3奪三振の無失点で抑える完璧なピッチング。「自分らしい投球ができました。(WBC本番に)アピールできたと自分の中では思っています」とコメント。
対応できない投手がいても、登録変更しない!?
山本監督が喜んだように、このキューバとの2試合を通じて日本の投手陣が許した四球は1つもなかった。その事実は事実として、果たして全員がメジャー球でも、同じようにボールをコントロールして四球を与えず、キューバ打線を抑え込めたのか。
そこに手放しでは喜べない事情がある、というわけだ。
日本代表は11月30日に28人の予備登録を行い、来年2月15日から宮崎で最終合宿を行う。今回は第2回大会のように多めの選手を合宿に招集して、そこで最終的な絞り込みを行うのではなく、絞り込んだメンバーで合宿を行い、3月2日の開幕に向けて調整を行う予定だという。
逆に言えば、そこでボールへの適応ができない投手が分かっても、そのメンバーでいかざるを得ないことになるわけだ。
そういう意味では、このキューバとの2試合は、せっかくメジャーのボールへの適応をテストできる機会だったのに、それをしなかった。そこに対応の甘さを感じざるを得ない。
確かに収穫はあったが、できることをすべてやり尽くしていない。ちょっともったいない気分の残るテストマッチだった。