スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
新興勢力の躍進とコイン・トス。
~MLBプレーオフを展望する~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byYukihito Taguchi
posted2012/09/25 10:31
智将デイビー・ジョンソン監督(写真中央)のもと、移転後初のプレーオフ進出を果たしたナショナルズ。
ブルワーズがプレーオフ進出なら青木が新人王に!?
では、ナ・リーグからプレーオフに出てくる残り3チームは、どこになるだろうか。西地区の優勝はジャイアンツ、ワイルド・カードの1枚はブレーヴスでまずまちがいない。ただ、ワイルド・カード最後の1枚がまだわからない。順当に行けばカーディナルスだろうが、ここへ来てブルワーズの追い上げが急だからだ。もしブルワーズが逆転に成功すれば、ライアン・ブラウンのMVPや青木宣親の新人王にもかすかな可能性が点灯する。もっとも、私がNLCSで見たいカードは、ジャイアンツ対ナショナルズだ。
一方のア・リーグも、無印だったオリオールズとアスレティックスの躍進が混戦を招くことになった。レンジャーズとヤンキースがプレーオフの枠を外すことは考えられないが、勝率の低い中地区の優勝争いはまだまだわからないし(タイガースがホワイトソックスを逆転し、ミゲル・カブレラが三冠王を獲得すれば、デトロイトは大騒ぎになるだろう)、開幕前にリーグ王者の本命と目されていたエンジェルスも、かなり差はつけられたものの、最後の最後まで勝負をあきらめないはずだ。
イチロー対ダルビッシュの対決がALCSで見られるか。
ただ、これまでのなりゆきを見るなら、今季のワンゲーム・プレーオフは、アスレティックスとオリオールズに戦わせたい。伸び盛りの若手をそろえた2チームがそこで死闘を演じれば、ポストシーズンの温度は一気に跳ね上がるはずだ。
そして、私がALCSで見たいカードは、やはりヤンキース対レンジャーズ。イチローもダルビッシュも、ここへ来てどんどん調子を上げているだけに、これは楽しみな対戦になるのではないだろうか。