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ワイルドカードが2枠に増えて大激戦。
MLBポストシーズンに生き残るのは?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2012/09/15 08:01
怒涛の快進撃でナ・リーグのワイルドカード争いに食い込んできたブルワーズ。青木宣親も8月後半以降調子を上げ、安打を量産。リードオフマンとしての存在感を高めている。
まったくメジャーリーグの「興行的センス」には脱帽だ。
今季から、地区優勝以外のチームで勝率がもっとも高い大会チームがポストシーズンに進める「ワイルドカード」の枠が両リーグとも2チームに増えたのだが、これが大激戦になっていて、例年だったらとっくに実質的にシーズン終了となっていた球団が、戦線を盛り上げている。
現在のところ、ポストシーズンに進出する可能性のあるチームは、両リーグとも5つをくだらない。
<アメリカン・リーグ>
ヤンキース
オリオールズ
レイズ
アスレチックス
エンゼルス
<ナショナル・リーグ>
ブレーブス(一歩リード)
フィリーズ
カージナルス
パイレーツ
ブルワーズ
ドジャース
「残り試合を全部勝つような感じで行けば」と青木宣親。
もともと、私はワイルドカード1枠の導入でさえ、反対だった。野球は半年以上に及ぶ長いシーズンを戦うわけで、地区優勝の重みを重視すべきだというのが基本スタンスである。ましてや、2枠に広げるなど、考えられないことだと感じていた。レギュラーシーズンの162試合が無駄になりかねない。
しかし、ワイルドカード争いが盛り上がるのを間近で見ると、自分が少数派であることを実感する。多くの球場は熱気に包まれている。興行的な成功は、メジャーリーグにとっては大きな勝利である。
なにより選手の気持ちが盛り上がっているのがいい。8月終了時点ではワイルドカード進出が厳しいと見られていたブルワーズも、9月12日までの20連戦を15勝5敗で乗り切り、トップバッターとして活躍する青木宣親選手も、「残り試合を全部勝つような感じで行けば、出られそうなので頑張りますよ」とやる気満々である。
登り調子のチーム。反対に失速気味の球団もある。まさに大混戦の様相で、このままだとワイルドカードの2枠目をかけた「ワンデー・プレーオフ」が行なわれる可能性も十分にあると思う。