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首位・日ハムの陰に師弟ドラマあり!
勝負の9月に輝く“栗山チルドレン”。 

text by

加藤弘士

加藤弘士Hiroshi Kato

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2012/09/26 12:00

首位・日ハムの陰に師弟ドラマあり!勝負の9月に輝く“栗山チルドレン”。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

9月17日の札幌ドーム、オリックス戦。試合後、杉谷拳士(左)を出迎える栗山監督。代打起用に見事に応え、貴重な決勝タイムリーを放った21歳の活躍を称えた。

指揮官と教え子たちが紡ぐ「熱闘甲子園」のような物語。

 中村は言う。

「よく話しかけてくれるし、監督との距離が近い感じがします。やりやすくさせてくれる。だから自然と『やるぞ!』という気持ちになってくるんです」。

 西川の思いは、こうだ。

「栗山監督でなかったら、こんなに試合には出られていないですし。アドバイスも『全部聞いて、自分のものにしなくちゃ』という気になる。本当に感謝しているし、プレーでしっかり恩返ししたい。絶対に、胴上げしたいですね」

 取材を続けていくうちに、この独特の「感じ」は、何なのだろうかと考えた。そうだ。夏の甲子園大会を取材している時に触れる「熱」、あれに限りなく近い。

 思えば今季、選手が打席で死球を浴びると、真っ先にベンチを飛び出すのは栗山監督、その人だ。居ても立ってもいられない。衝動の根っこにある、選手への愛情が自然と伝わってくる。

 栗山監督は最近、口癖のように繰り返す。「“ずっと”トーナメント。“より”トーナメント。目の前の試合を勝つことしか、考えられない」。負けたら終わりの明日なき戦いに、チームが一丸となって挑んでいく。信頼関係が生み出す汗と涙の人間ドラマ。まるで「熱闘甲子園」を彷彿とさせる物語が、そこにはある。

「最近さ、首から背中がずっと痛くて、全然動かない。もうバリバリ。バリバリ伝説よ」

 報じる側から演じる側に立場は変わったが、熱血指揮官のテンションは高まるばかりだ。座右の銘は「夢は正夢」。夢は叶えるために、見るもの――。若き力が勢いをもたらし、首位で迎えるファイナル・カウントダウン。夢のゴールテープは、目前に迫っている。

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