日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
ベネズエラ戦で感じた一抹の不安。
今野不在は攻撃面にも影響が!?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2012/08/17 11:50
5月23日のアゼルバイジャン戦以来の先発となった伊野波。今野、内田、栗原と守備の選手がイラク戦では抜けるが、DFラインの試行錯誤は続くことに……。
今野の代わりに入った伊野波、水本ともに決め手を欠く。
今野は言うまでもなくザックジャパンの守備の柱。これまでずっと先発に固定されており、その今野がいなくなった影響は思った以上に表れていた。
ザッケローニはこのベネズエラ戦で今野とタイプが似ているスピードのあるセンターバックとして前半は伊野波雅彦、そして後半からは好調なサンフレッチェ広島から招集した水本裕貴をテストしたが、いずれも決め手に欠いた。
伊野波は気負いが空回りしていた。
いただけなかったのは前半7分のプレー。インターセプトを狙ったところで裏を取られてしまい、ミクー(ヘタフェ)に切り返されてシュートまで持ち込まれてしまったシーン。右ひざの状態が良くないこともあって、踏ん張りが利いていないところがあった。
後半に入った水本はザックジャパン初招集とあって、守備の連係で戸惑いもみられた。
失点の場面では香川真司が左サイドでボールを奪われ、長友佑都が上がっていたためにそのスペースを使われた。水本がカバーに回れず、そのままホセフ・マルティネスにペナルティーエリアに侵入され、最後は中央に入ってきたミクーにゴールを決められてしまう。五輪の疲労が残っているのか、吉田もミクーに対応できなかった。
今野不在で気になったのは、守備よりもむしろ攻撃面への影響!?
しかしながらザッケローニは「ディフェンスラインでどれだけやれるか見たかった。ポジティブなリアクションが返ってきて、及第点以上の出来」と語っている。
ちょっと“褒めすぎ”の感は否めないものの、不慣れな部分を差し引くと、指揮官にとってこれぐらいは想定の範囲内ということなのだろうか。守備の連係はすぐに修正できると踏んでいるようでもあった。
ただ、筆者が今野不在で気になったのは、守備よりも攻撃面への影響なのである。
「後ろである程度リズムをつくっていきたかったが、いい攻撃にうまくつなげられなかった」と伊野波もそのことを課題に挙げていた。
たとえば前半31分、川島永嗣からパスを受けた伊野波は、ボールを受けに来た本田を通り越して前にいる前田遼一への縦パスを通そうとした。しかし、これが通らない。縦を狙うのは悪くないが、ミスになると意味がない。前半18分にも左サイドに出て香川への縦パスを狙っているが、これも失敗している。縦パスを入れるタイミングやボールのさばきという点では伊野波も水本もまだまだ物足りなかった。