メキシコ戦同様、引いた相手を崩す策が無かった日本。

　この2失点は、選手全員がロングボールへの準備と集中力を持っていれば、防げた点だった。蹴ってくるのは序盤から分かっていたはずなのに、結果的に同じような形でゴールを割られているのだ。

　日本がチームとしての未熟さを露呈したのは、2失点した後だった。

　韓国は無理せず、守備のブロックを作り、カウンター狙いに切り替えた。日本は、引いた相手をどう崩すのか――。メキシコ戦で突き付けられた課題を韓国戦でも試されることになった。

「ボールが保持できて、回せてはいたけど、逆に回させられている感じがして、なかなかチャンスを作ることが出来なかった」

　扇原貴宏は、ボールを保持する時間が長いのに試合をコントロールしている感が薄いと感じていたという。

五輪代表チームには、ヤット（遠藤）のような選手がいない……。

　実際、日本は攻めあぐねていた。

　パスを回し、相手を左右に揺さ振っているように見えたが、それほど相手は振られていなかった。変化を付けるために縦パスを入れたり、ミドルシュートを打つ工夫もなかった。

「攻撃の時は、ヤットさんの存在の大きさを感じましたね」

　吉田はそう言ったが、なるほどこのチームにはヤット（遠藤保仁）のように攻撃に変化とリズムを付けられる選手がいない。吉田は、いないからこそ余計に存在の大きさを実感したのだろう。

「メキシコ戦で出た課題を韓国戦でも克服できなかった。ベスト4まで勝ってきたのは自分たちの実力だけど、ここで負けたのも自分たちの実力だということです」

　大津祐樹は、淡々とそう言った。

　結局日本は、韓国の術中に完全にハマった。

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