ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER
完全に韓国の術中にハマった日本。
U-19、五輪、2大会連続敗北の現実。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNaoki Ogura/JMPA
posted2012/08/11 12:25
試合直後のキャプテン吉田のコメント。「これが現実。目に焼きつけておいた。サッカーをやっている限り、今日のことを忘れることはない」
あまりにも悔しい敗戦だった。
それが、試合後の選手の表情からも伝わってくる。吉田麻也は、何度も両手で膝を叩いて、表情を歪めた。酒井宏樹、鈴木大輔、清武弘嗣、宇佐美貴史もピッチに倒れたまま起き上がれない。涙こそないものの、苦虫を噛み潰したような表情が浮かぶ。
なぜ、あの韓国に勝てなかったのか。
「ロングボールでくるのは、想定内だった」と語ったのは、吉田だった。
一方、清武は「あんなに蹴ってくるとは、想定外だった」と言った。どちらが正しいという問題ではなく、同じピッチに立つ選手の意識が統一されていなかったことが、そもそも躓きの始まりだった。
韓国の戦術は、古典的なロングボール攻撃だった。
最終ラインから前線のパク・チュヨンに目掛けて蹴り、セカンドボールを拾ってサイドに展開して、仕掛ける。戦術は至ってシンプルだが、シンプルだからこそ繰り返されるとジワジワ効いてくる。
韓国の戦術がジワジワと効いていき……日本にミスが出始めた。
最初は、日本がセカンドボールを拾えていたので、そんなに危険な香りはしなかった。だが、韓国が蹴ったあと押し上げを早くし、セカンドボールへのプレッシャーを強め始めると、荒れてデコボコの芝の影響もあったのだろう、日本にミスが出始めた。
「グループリーグではあまりなかったパスミスとか、トラップミスとか、判断のミスもあり、なんとなく嫌な展開だった」
吉田の言う通り、ミスを連発し自分で自分の首を絞める悪循環に陥った日本。そうして、失点もそのミスから生まれてしまった。
前半38分、目測を誤った吉田の頭上をボールが越え、FWパク・チュヨンに持っていかれた。鈴木、山口らがカバーに入ったがフェイントで振り切られ、豪快なミドルを叩き込まれた。
後半12分の2点目もGKのロングボールをパク・チュヨンが頭でそらし、ク・ジャチョルが受け、鈴木との1対1に持っていかれ、最後はかわされてゴールを決められている。