野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
26万円の超高額チケットが即完売!
千葉ロッテの奇抜なアイデアに学べ。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byChiba Lotte Marines
posted2012/07/25 10:31
QVCマリンフィールド名物の花火。毎週金曜日、交流戦ナイターのほか、夏休み期間中は全試合で打ち上げられる。
超高額チケット完売に見る野球観戦の新たなカタチ。
そんな初芝氏の気合いが伝わったのか、チケットが発売となった7月11日午前10時。発売開始1分でこの超高額チケットは完売。その後もチケットを求める電話が殺到したというから凄まじい。
このチケットを購入したラッキーでリッチーな御仁は、東京都調布市在住のご夫婦と奥さんの母親、ご主人の妹の4名。前代未聞の扉を開けたマリーンズファンのご主人からはこんなコメントをいただいた。
「妻の母親を日ごろ、旅行に連れて行っており、その中で今回のプランを知り、VIPルームでのんびり野球観戦してみたいと思い、申し込みました。注目されたプランなので、野球ファンとして予約をとれたことに、とても舞い上がっています」
右を見ても左を見ても、二言目には不景気不景気と辛気臭い発言が出てしまう現代ニッポンにおいて、この高額シートの発売&一瞬で完売という事実は、近年多様化するプロ野球チケットに新たな流れをもたらす可能性を作ったといえるだろう。
そして、もうひとつ。かつては初芝氏の応援歌の節に乗せて一部ファンの間で「ロッテの夢は観客動員100万人」と自虐気味に歌われていた川崎時代からの不入りの時代を思えば、1試合26万円のシートに購入者が殺到したことは、千葉に移転した後のマリーンズがそれだけ魅力的なチームになった証でもあるのだろう。ガムを貰って喜んでいた昔日の川崎球場を思えば実に感慨深い。
前代未聞のイベントを次々に仕掛ける千葉ロッテ。
今回の超ゴージャスチケットにしてもそうだが、毎度毎度、千葉ロッテマリーンズという球団が仕掛けてくるイベントには唸らされるものが多い。ユーモアとウィットに富み、時に感動的に、自虐的に、野球初心者でも楽しめるものからコアすぎるファンの琴線にも触れる企画を世に送り出し続ける、その姿勢には頭が下がる。
今シーズンのイベントを見ても、前代未聞のオンパレードだ。4月18日の東北楽天戦ではイニング間に落語家・桂米多朗氏が野球にちなんだ落語を披露してくれる「落語付きチケット」」(1万円。パーティールームで特製幕の内弁当と飲み放題付き)を販売。
5月10日の北海道日本ハム戦。相方のひとりが千葉県出身という漫才師「ナイツ」による「漫才付きシート」(1万円。パーティールームで料理と飲み放題付き)は、雨で中止になったものの、イベント自体は実施。好評を得たことから、ナイツはこの8月29日に試合終了後にグラウンドで漫才を披露するほか、夏休みのスタジアムにおける注意勧告のナレーションを担当するのだとか。