野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
26万円の超高額チケットが即完売!
千葉ロッテの奇抜なアイデアに学べ。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byChiba Lotte Marines
posted2012/07/25 10:31
QVCマリンフィールド名物の花火。毎週金曜日、交流戦ナイターのほか、夏休み期間中は全試合で打ち上げられる。
移転騒動もあったけれど……ロッテの千葉愛は本物だ!
「正直、この企画を聞いて物凄く嬉しかったです。数年前には『マリーンズが千葉から移転する』みたいな報道が聞こえてきて、心中穏やかではなかったですからね。今年、球団として“千葉とともに闘う”と宣言してくれたことでモヤモヤが晴れました。歌も郷土愛を喚起させてくれる内容ですし、CHIBAユニフォームもシンプルでいい。先日も同僚が会社に着てきてそのまま球場に行っていましたよ」(習志野市・T村さん)
しかし、何故今改めて千葉なのか。前出の広報・梶原さんは言う。
「これまでも千葉という地域に密着した球団運営を心がけてきましたが、20年という節目の年を過ぎて、改めて“地元に愛して貰える球団になること”が、球団を成り立たせる上で最も需要なことであるという思いを強くしています。千葉とひと口に言っても54の市町村がありますから、まだまだマリーンズファンが少ない地域も多い。今年は幼稚園まわりなどもしていますが、『千葉にはマリーンズがある』ということを知ってもらうために、もう一度原点に立ち返って、市町村ひとつひとつを周ることもできればと思っています。もちろん、優勝して千葉に明るいニュースを届けることが最大の地域へのアピールですけどね」
千葉県民620万人に愛される球団を目指して。
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一昨年、下馬評を覆し、シーズン3位からの「史上最大の下克上」を成し遂げた千葉ロッテ。そのスローガンとなった「和」が日本一の原動力となったように、マリーンズというチームは選手、球団、ファンが団結した時には恐ろしい力を発揮している。その逆もまた然りなのだが。
その力を知るが故なのだろう。今季のスローガン「和のもと ともに闘おう!」は、未来を見据えた球団が本当の意味で千葉という地域と共に生きると覚悟を決め、その和を千葉県全体へと広げようと呼びかけているようにも感じる。
夢のある野球場を目指し、千葉での21年目を戦う今シーズン。かつて、「観客動員100万人が夢」と揶揄された川崎の不人気球団は、今ならば何というだろうか。梶原さんは言う。
「ロッテの夢は千葉県民620万人、すべての人に愛してもらえるような球団です」
千葉がひとつに団結した時、マリーンズは福岡にも北海道にもアメリカにも例を見ない、もっと非日常的に、バカバカしくも魅力的で面白いチームになる。その為にも「千葉」への誓いを改めた今シーズンの優勝は是が非でも成し遂げたいところだ。後半戦のマリーンズの「和」の力、そして千葉の人たちがマリーンズの「和」の中にどう巻き込まれていくのか、その動向にも継続して注目していきたい。