乱打戦を演じた花巻東と盛岡大付の再激突はあるか？

●岩手

　岩手を注目県に挙げたのは今年の高校ナンバーワン投手、大谷翔平（花巻東）がいるからだ。

　いいのは投球だけではない。選抜大会初戦、優勝した大阪桐蔭の本格派、藤浪晋太郎のスライダーを右中間スタンドに放り込んでいるように長打力も群を抜いている。

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　春の段階で投打どちらがいい、と問われたら、私はしばし思い悩んだあとで、「バッティング」と答えただろう。それくらい遠くへ飛ばす能力は素晴らしい。

　しかし、夏に向けてウエートトレーニングと走り込みの量を増やしたことにより、投球フォームが安定してきたという情報がある。昨夏、今春と初戦負けを繰り返してきた大谷にとって、この夏は全国の晴れ舞台で投手としての実力を発揮するラストチャンスである。

　私たちは昨年夏、股関節を故障しながらストレートが150キロを計測した大谷の凄さを目の当たりにしている。そういう凄さを十分知りながら、その凄さが結果に結びついていないことには大谷同様、納得できていない。だから、あえて「投手・大谷」の可能性に懸けてみたい。

　対抗馬は、春の東北大会準々決勝で花巻東を10対9で破った盛岡大付。準決勝の仙台育英戦も敗れはしたが、9対11の接戦を演じているように乱打戦に持ち込めば一筋の光明が見えてくる。

“機動破壊”の健大高崎に前橋商と前橋育英が対抗。

●群馬

“機動破壊”という物騒な異名を付けられた健大高崎の機動力に、好選手を揃えた前橋商、前橋育英がどう立ち向かっていくのか、というのが群馬大会の最大の見どころになる。この3校の中で頭1つ抜け出ているのが、選抜4強進出校の健大高崎である。

　選抜、関東大会と見てきて驚かされるのが、失敗しても衰えない走塁への意欲だ。たとえば選抜大会では、1回戦の天理戦で二塁走者の竹内司（中堅手）が捕手のけん制で刺されたが、その後6盗塁を成功させている。失敗が足かせになっていないのである。

　天理戦だけではない。神村学園、鳴門、さらに関東大会の帝京、東海大甲府、埼玉栄、関東一戦と、相手ディフェンス陣にプレッシャーをかけ続けることを価値観の最上位に置き、そのための盗塁失敗、走塁死、けん制アウトならそれも是としようというチーム方針に驚かされる。

　中心になるのは竹内だが、長坂拳弥（捕手）、中山奎太（二塁手）、内田遼汰（三塁手）など俊足と好打を誇るアスリートタイプが揃い、どこからでもチャンスメークできるのが強みだ。

　対抗馬に挙げた前橋商と前橋育英は別のブロックに入ったので、両校が挑戦者に名乗りを挙げるためには準決勝を勝ち上がることが先決。健大高崎と同じブロックで不気味なのは桐生一。3回戦で当たることになるが、この一戦が群馬大会を大きく左右するだろう。

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