欧州CL通信BACK NUMBER
“1999年→2001年”の歓喜を再現!?
バイエルンがCL初の地元優勝狙う。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2012/05/19 08:02
バルセロナではなくチェルシーが勝ちあがって来たことについて、「試合内容で言えば、バルセロナの方がチェルシーよりも強い。しかし戦術やセットプレーではチェルシーの方が上だ。決勝ではチェルシーは守備的な戦術をとるだろうから、バイエルンにとっては難しい試合になると思う」とコメントしたリベリー。
守備陣3人の出場停止、ドイツ杯での完敗など不安材料も。
ただし、バイエルンにとって不安材料がないわけではない。
レアル・マドリーとの準決勝の第2レグで受けたイエローカードにより、左サイドバックのアラバ、センターバックのバドシュトゥバー、ボランチのグスタボが出場停止になってしまった。守備陣3人を欠いて、決勝戦に臨まなければいけない。チェルシーもDFのテリーとイバノビッチ、MFのメイレレスとラミレスが出場停止になっており、台所事情が苦しいのはどちらも同じではあるが。
また、CL決勝に向けて高まる雰囲気に水を差してしまったのが、5月12日のドイツ杯決勝、ドルトムント戦の惨敗だ。一度はロッベンのPKで追いついたものの、簡単に決定的なパスを通されて失点を重ねた。
ドログバの規格外のパワーをいかに抑えるかが勝負の鍵。
強気で知られるキャプテンのラームも、自分たちの立ち位置を見直さざるをえなかった。
「ドルトムントはブンデスリーガとドイツ杯で、バイエルンより上に立った。ドイツには自分たちよりも上のチームがあることを、受け入れなくちゃいけない」
ドイツ杯決勝後の食事会のスピーチにおいて、ルンメニゲ代表取締役は「一人ひとりが反省して、何ができるかを考えなきゃいけない」と訴えた。どれだけ選手が気持ちを切り替えられるかが鍵になるだろう。
現実問題として、バイエルンにとって懸案事項となるのはセンターバックだ。バドシュトゥバーの代役にはウクライナ代表のティモシュクが入ることが濃厚だが、もともとはボランチが本職の選手。ドログバの規格外のパワーを90分間抑えろというのは酷な話だろう。
さらにボランチを組む見込みのシュバインシュタイガーとクロースは、2人とも攻撃が売りのテクニシャンだ。グスタボのように、体を張ってDFラインをカバーすることはあまり期待できない。
最もありそうなピンチの場面は、ロングボールに対してセンターバックがドログバに競り負けて、こぼれ球を相手に拾われてシュートを打たれるというものだろう。GKのノイアーが前に飛び出して、相手と交錯するシーンが増えそうだ。