欧州CL通信BACK NUMBER
奇妙な試合展開でレアルが自滅!?
バイエルンが見せたホームでの強さ。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byBongarts/Getty Images
posted2012/04/18 12:30
後半45分の決勝点のシーン。モウリーニョ監督は「引き分けの方がフェアな結果だったはずだが、これがサッカーというものだろう。それほど酷い結果でもない」とコメントしている。
後半25分すぎから徐々にペースを握り始めるバイエルン。
3日前のリーグ戦で主力選手たちに休息を与えた効果もあった。
すでにリーグ制覇の望みが薄くなったことを受けて、その試合では100試合連続出場中だったラームをベンチに置いたまま、リベリー、クロース、ゴメスらも後半以降の出場だけに抑えていた。
バイエルンは、レアルよりはいくぶん疲労の影が薄かったのかもしれない。そのためかどうか……後半25分すぎから、バイエルンは少しずつサイド攻撃から活路を見出していった。
とはいえ、バイエルンが選んだのはサイドからクロスを放り込むばかりの単調な戦い方だった。クロスの先にいるのは、ゴメスだ。
簡単なシュートチャンスをゴールに押し込む点取り屋だと自任するストライカーは、DFラインとの駆け引きから裏のスペースに飛び出す上手さはあるが、ヘディングが得意ではない。彼の頭に合わせるのは、メッシにミドルシュートを期待するようなものだ。レアルのお粗末な守備にも助けられ、ゴメスが頭で合わせるシーンが続いたが、ゴールには程遠いように見えた。
1-1での引き分けならレアルにとって悪く無いシナリオだった。
レアルにとって、ベストではないが、悪くはないシナリオ。1-1での引き分けが濃厚と見られた後半45分だった。
左MFリベリーが右サイドによっていき、ペナルティエリアにさしかかるあたりから、外側にいたラームへパスを出す。ラームがコエントランを振り切り、低くて速いクロスをあげた。ロッベンが体ごと突っ込むと、その奥で待っていたゴメスのもとへボールが転がっていき、あとは押し込むだけ……。
そんなシーンでゴールを決めることを身上にしているドイツ代表FWがこれを蹴り込み、土壇場でバイエルンが勝ち越しに成功する。
ロスタイムは3分あったが、レアルの選手はいら立つばかりだった。
イグアインとマルセロがイエローをもらい、時間を浪費するばかりで、なすすべなし。大方の予想に反して、ホームのバイエルンが勝利をつかんだのだ。