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岡崎も認めた酒井高徳の潜在能力。
シュツットガルトも来季は優勝争い!?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byItaru Chiba
posted2012/04/19 10:30
ドイツの2大紙『キッカー』『ビルト』でベストイレブンに選出されるなど酒井の評価はうなぎのぼり。『WELT』紙は「すぐにでも彼を帰化させるべき」とも。
ブンデスリーガのシーズン後半戦で、最も周囲を驚かせたチームがシュツットガルトであることは間違いない。
後半戦だけの成績を見ると勝ち点は27で、これは2位バイエルンと同じ数字。前半終了時、8位に沈んでいたのが嘘のようだ。チャンピオンズリーグ出場権(ただしプレーオフからの参加)獲得の4位に入るのはやや厳しくなったが、ヨーロッパリーグ出場権を得られる5位はほぼ確実といっていいだろう。
後半戦のシュツットガルトの強さの秘密は得点力にある。後半戦14試合で上げた36得点というのはリーグトップの成績。1試合平均2.5点以上をたたきだしている。
後半戦から加入したFWイビセビッチの数字以上の貢献度。
3月30日、ドルトムントのホームで行なわれた試合では、一時は0-2とリードされながら、追いつき追い越せのシーソーゲームを演じて4-4の引き分けに持ち込んだ。リーグでは20戦以上負け無しで、後半戦はホームで無敗と絶好調のドルトムントが、ホームで唯一勝てなかったのがシュツットガルトなのだ。
最も大きな変化は、後半戦が始まった後にホッフェンハイムから加わったFWイビセビッチの存在だろう。加入してからの12試合で8ゴール、5アシストの活躍を見せているが、その数字以上に貢献度は高い。
彼が中央で上手くボールを受けることによって、そこから両サイドのMFへパスを出すシチュエーションや、彼がボランチに落として、そこからサイドのMFを使っていく場面が多くなった。前線にイビセビッチという柱が出来たことで、攻撃の破壊力が増したのだ。
3月9日のカイザースラウテルン戦後には、左MFの岡崎慎司が負傷し、3試合にわたって戦列を離れることになった。この時点でチームで2番目に多くゴールを決めていた岡崎を失ったのは痛手だったが、チームの得点力を落とさずに好調を維持できたのも、イビセビッチがそれだけ周囲を活かせる選手だったからだ。
イビセビッチほどの活躍を見せているわけではないが、酒井高徳の存在も忘れてはいけない。