欧州CL通信BACK NUMBER
バルサもレアルも苦戦必至!?
因縁だらけの欧州CL準決勝。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph bypicture alliance/AFLO
posted2012/04/16 11:30
バイエルンを率いるユップ・ハインケス監督は、1997-1998シーズンにレアル・マドリーで監督を務め、欧州CLを制覇している。「私たちよりもスペインの2クラブは少し優れているようだ。しかし、バイエルンはレアル・マドリーと戦ってきた歴史もあり、それはこちらに相当有利な戦績だった。私たちがレアルを追い出すことは可能だと思う」とコメントした。
今季のチャンピオンズリーグ準決勝2カードにはそれぞれ因縁がある。
17日にアリアンツ・アレナで第1レグが行われるバイエルン・ミュンヘンとレアル・マドリーは、ともにヨーロッパサッカー界の名門。CLとその前身ヨーロピアンカップのノックアウトラウンドでこれまで8回対戦しており、勝ち抜け率は全くの五分だけれど、準決勝だけをみると4回の対戦中3回ファイナリストになったのはバイエルンの方だ。おまけにミュンヘンでの試合は、'99-'00シーズンのグループステージを合わせて過去9回行われているが、マドリーが勝ったことは一度もない。実に8敗1引き分けなのだ。
今回はポテンシャルではマドリーが有利だが、勝利の行方はバイエルンの出方次第だろう。
ベンゼマやクリスティアーノ・ロナウドが好調を続ける今季のマドリーのカウンターはおそらく世界一。わずかなパスで前線までボールを運び、桁違いの決定力であっさり得点してしまう。そして、これに中途半端な対策を練り、自分たちのサッカーに拘泥するチームは、まず間違いなく前半の早い段階で痛い目に遭う。
ならばバイエルンはどうするべきか。
シャビ・アロンソを抑え、試合を荒れさせれば……勝機アリ。
最近リーガで効果を示しているのは、攻撃の起点となるシャビ・アロンソへの適確なマークだ。ここを抑えられると、機械仕掛けのごとく無駄なく働くマドリーの攻撃システムが乱れていく。
さらに、そこから試合を荒れた展開にもっていくことができれば、バイエルンのチャンスは広がる。もちろんリスクを冒すことにはなるが、安全第一で勝てるほどCLの準決勝は甘くない。
要はマドリーを落ち着かせないことだ。
一方的に攻める展開も、反対に攻められる展開も、マドリーはレパートリーに収めている。しかし目まぐるしく攻守が入れ替わるゲームとなると、対応はできるが、組織的なディフェンスを得意としない守備陣に歪みが生じる可能性は高い。そこをリベリーらバイエルンのタレントが突けば、きっと歴史は繰り返すだろう。今季のCL10試合で6失点しかしていないマドリー相手に先制ゴールを決めることも重要だ。