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候補7人を絞り込んでいく基準は?
男子マラソン、五輪代表選考の行方。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAkihiro Sugimoto/AFLO SPORT
posted2012/03/06 10:30
びわ湖毎日マラソンで、前にいた中本健太郎をラストスパートで抜き去る山本亮(写真右)。3桁の番号が記されたゼッケンが、山本が一般参加ランナーであることを表している。
思わぬ結果だった。
昨夏のテグ世界選手権、昨年12月の福岡国際マラソン、2月の東京マラソンと続いてきた、ロンドン五輪の男子代表選考大会。その最後のレースとなる、びわ湖毎日マラソンが3月4日に行なわれた。レースの中心になると予想されていたのは、世界選手権7位の堀端、10位の中本あたりと見られていた。
雨が降り、スタート時の気温は7.7度。コンディションに恵まれない中、日本勢のトップでゴールを切ったのは、山本亮だった。
あらためてレースを振り返ってみたい。
「自分は後半に強い」とトラックでの勝負に持ち込んだ。
25kmを過ぎてペースメーカーが外れ、それまでの大集団から海外勢が前に出る。日本人選手の中では、堀端が上位に食らいつき、その後方に今年の箱根駅伝の2区で区間賞を獲得した青山学院大学の出岐雄大、さらに中本らが後方に位置する。山本は、さらに遅れることになった。
35kmを過ぎ、ペースが落ち始めた堀端が、38kmあたりで中本に抜かれる。その後、中本は快調な走りを見せ、このまま最後まで行くかに見えた。ところが40kmを過ぎて、追い上げてくる選手がいた。山本だった。
レース後、山本は後方に置いていかれたときの心境をこう振り返っている。
「自分は後半に強い、前にいる選手が落ちてくる可能性はある」
その言葉のとおり、あきらめずに追い上げていき、一人ずつ下がってきた選手を抜きながら順位を上げたのだ。
そしてトラックにもつれた勝負で、山本がついに中本を抜き、日本勢のトップに立つ。
終わってみれば、2時間8分44秒、全体で4位という結果でゴールしたのである。