オリンピックPRESSBACK NUMBER
田中希実を破って全国制覇→陸上界からドロップアウト…それでも“元・天才少女”高橋ひな（26歳）が現役復帰を決めたワケ「最大限の努力はしたと…」
posted2024/08/06 11:03
26歳での現役復帰を決めた高橋ひな。いまだ800ｍの中学記録を持つ「元・天才少女」は現在、ピラティスのインストラクターを務める
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph by
(L)AFLO、(R)Satoshi Wada
パリ五輪の注目選手で、日本女子中長距離界の第一人者である田中希実（New Balance）。そんな彼女だが、実はインターハイで全国の頂点に立った経験はない。在籍した西脇工高では、高2時の1500mで「表彰台独占」の快挙を達成しているが、田中は2位。その時に頂点に立ったのが、田中の1学年上の先輩・高橋ひなだった。一方で、その勝利は高橋の陸上人生を大きく狂わせることにもなった。そんな紆余曲折を経て、26歳になった元「天才少女」の現在地は――？《NumberWebノンフィクション全3回の3回目／最初から読む》
今年2月、高橋ひなは女子駅伝チームをもつ新日本住設グループという会社に転職した。
かつて師事した横田真人氏（現TWOLAPS TC）の富士通時代の同僚で砲丸投の元日本記録保持者だった山田壮太郎が同チームのGMを務めており、その縁で紹介を受けた形だ。
「駅伝も走るし、トラックもやりたいってお話ししたら、『自分のやりたいことに全力を注げるならいいよ』と言ってくださいました」
本格的なレース復帰に備えて、今は鍛錬を重ねている最中だ。
社業は「ピラティスのインストラクター」
もちろん社業もこなす。練習の後にはピラティスのインストラクターとして働いている。
「まだまだですけど、転職する少し前から始めて、だいぶできるようになってきました。ピラティスをトレーニングにも取り入れることで、以前陸上をやっていた時とはまた違って、しっかりと乗り込んで走るみたいな感覚が分かるようになりました。社業がトレーニングの一環でもあるのはありがたい」
第二の競技者人生では、これまでとはまた違った感覚で競技に取り組むことになりそうだ。
3年以上のブランクがある高橋にとって、ヒントになりそうなのが、元チームメイトの新谷仁美（現積水化学）だ。
