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モウリーニョは攻略の方程式を示せず。
バルサに完敗したレアルが陥った罠。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byGetty Images
posted2011/12/12 11:50
バルセロナの3点目のゴールが決まった瞬間。試合後には「試合を落とした理由は運だけだよ。1-0になった後、何度か2点目を決めるチャンスがあった。クリスティアーノ(ロナウド)に数度あったチャンスが決まっていれば……」と語ったモウリーニョ
12月10日に行われたリーガ・エスパニョーラ16節、レアル・マドリー対バルセロナによる「エル・クラシコ」は、アウェーのバルセロナが1-3で制し、消化試合が1つ多い状況ながら同勝点で暫定首位の座を手にした。
「レアル有利」という初めての前評判を裏切った、惨敗。
今回のクラシコはグアルディオラがバルセロナの監督に就任して以来、初めてレアル優勢の前評判のもと行われた一戦だった。
消化試合が1つ少ない状況で2位バルサと勝ち点3差をつけて今節を迎えた首位レアルには、引き分けでもアドバンテージを保てる精神的余裕がある。しかもチームはそれまでクラブ記録タイの公式戦15連勝中と絶好調で、ホームでは4月30日のレアル・サラゴサ戦以来223日も無敗を保っていた。
対するバルサはこれまで圧倒的強さを誇るホームとは裏腹に、リーグ戦のアウェーでは今季ここまで2勝3分1敗と取りこぼしが目立つ内弁慶な傾向があった。
また今季のバルサは基本布陣の4-3-3より攻撃的な3-4-3という新たなオプションを身につけたものの、ボール奪取からの速攻を最大の武器とするレアルにとって、カウンターを仕掛けるためのスペースがより広くなる相手の3バック採用はむしろ好都合。そのことはグアルディオラも「レアル相手に3バックでプレーするのはリスクが高すぎる」と認めていた。
ゆえに、今回こそは勝てるのではないか。勝ってバルサとの勝ち点差を9に広げ、3年間続いたライバルの覇権に終止符を打つ。そんな青写真を描き、期待を膨らませたマドリディスタは多かったはずだ。
次の対戦につながる収穫がない、「ただ負けた」だけのレアル。
しかし、レアルはまたも王者バルサに惨敗を喫した。
しかも過去の対戦の経験を活かして徐々にライバルの背中に近づいてきたこれまでの敗戦とは違い、今回のそれは次につながる収穫が何ひとつ見つからない、文字通り「ただ負けた」だけの敗戦だった。スコア上では1-3と大差こそつかなかったものの、多くのファンや識者が、今まで以上に落胆したのは、収穫無き敗戦が理由なのは間違いない。