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「一人一人が死ぬ気で戦わないと」
遠藤保仁が代表戦の実情を語る。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byToshiya Kondo

posted2010/03/05 00:00

「一人一人が死ぬ気で戦わないと」遠藤保仁が代表戦の実情を語る。<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

「一人一人が死ぬ気で戦わないと」 遠藤保仁が代表戦の実情を語る。

ドイツW杯の時はチームの一体感が完全に消滅していた。

 また、ドイツW杯のチ-ムは、個々の能力は非常に高かった。だが、チームとしての一体感は大会に入ると徐々に薄れ、オーストラリア戦に敗れると完全に消失したという。どんなに能力が高くてもチームとしてまとまらないと勝てない。その教訓があったからこそ、遠藤はみんながお互いのために頑張れるチ-ム作りを重要視し、実現してきた。

「本大会まで、3カ月でしょ。ここまで来た以上、チームの作り方とか在り方を変えることはできんし、そもそも俺は岡田さんのやり方は間違っているとは思っていない。今のやり方を継続していくべきやし、続けていけば本大会でやれる自信もある。ただ、韓国戦の内容が悪すぎたんで、いろんな批判とかも出てきたからね。まぁバーレーン戦は内容を伴った勝利が必要になると思うけど、俺はそんなに心配していない」

海外組が加入しても「まぁまぁ」の手応えだった!?

 3月3日、2011アジアカップ予選のバーレーン戦。日本代表は、トップ下に本田圭佑を置き、岡崎慎司の1トップというシステムでスタートした。負けられないという緊張感のせいか、序盤はミスが多く、決定機を外すなど、選手に硬さが見られた。それでも岡崎が先制し、本田が最後に帳尻合わせをし、2-0の完封勝利。だが、遠藤の表情は、勝ち試合にもかかわらず、不満そうだった。

「東アジアの時よりは、チャンスをたくさん作れたと思うし、内容も悪くなかった。圭佑(本田)のトップ下も今日に限っては問題なく、違和感なくやれた。大輔(松井)も運動量が豊富だったし、ピッチの幅を使って攻撃できた。課題は相変わらずあるけど、今日はまぁまぁっしょ」

 たぶん、遠藤は、中村俊輔を始め、長谷部誠、松井大輔、本田ら海外組が入ることで戦い方に変化が生じ、それをファンが支持してくれることも織り込み済みだった。だから、心配はしていなかったのだ。だが、「まぁまぁ」という言葉からすると、その変化は期待していたほどではなかったようだ。また、本田のトップ下起用も「今日に限って」と条件を付けたように、手放しで喜んでいるわけではない。バーレーンのレベルであれば問題はない。だが、W杯本大会で同じように機能するかどうかは分からない。無表情で淡々と話す様からは、そんなことが読み取れた。

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