ベースボール・ダンディBACK NUMBER
エラーの数では分からない、
2009年「本当のチーム守備力」。
text by
田端到Itaru Tabata
photograph byNaoya Sanuki
posted2009/12/27 08:00
ほんの数年前まで、毎年オフシーズンには各テレビ局で「好プレー珍プレー」のような番組がたくさん組まれていたのに、今やほとんど見かけなくなってしまった。
寂しい限りだ。特に守備のファインプレーは、シーズン中でも世間一般に紹介される機会が少ないだけに、これらのプログラムの消滅は痛い。
その一方で、YouTubeなどの動画サイトには、ファインプレーを集めた映像が多数アップされ、驚くほどのアクセス数を集めている。あの動画群を見ていると番組の需要がないとはとても思えないのだが。
かつて強烈なヘディングで全国区の選手となった宇野勝のような選手・プレーが、今ではどこかに埋もれてしまっているかもしれないと思うと、残念でならない。
プロ野球界は総力を結集して、みのもんたさんにお願いに行くべきだろう。頼む相手が違うか。
チームの守備力を表すには失策数より「DER」。
前回、前々回と、選手個人の守備力を数字で検証してきたが、今回はチームの守備力を数字で比較してみたい。
チームの守備力を比べるとき、まず誰もが思いつくのは「失策数」だ。
2009年のチーム失策数を、少ない順に並べると以下のようになる。
まずセ・リーグは、1位ヤクルト57、2位巨人84、同中日84、4位阪神86、5位横浜99、6位広島100。
パ・リーグは、1位日本ハム55、2位楽天62、3位西武68、4位ロッテ70、5位オリックス74、6位ソフトバンク79。
しかし、失策数よりもチーム守備力を表すのに説得力のある指標が存在する。
「DER」である。
我流で日本語に訳せば「アウトゾーン比率」とも言うべき数字で、計算式は以下の通り。
DER =(打席-安打-四球-死球-三振-失策)/(打席-本塁打-四球-死球-三振)
ややこしそうな式の割に中身はシンプルで、おおざっぱに言えば「本塁打以外の、フェアグラウンドに飛んだ打球のうち、アウトになった割合」を表す。
分母は「グラウンド内に飛んだ打球の数」、分子は「野手がアウトにした数」だ。DERが0.700ならば、グラウンドに飛んだ打球のうち70%がアウトになった、ということになる。