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“スーパー・ルーニー”出現なるか?
最強バルサに挑むマンUの勝機とは。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byREUTERS/AFLO
posted2011/05/27 10:30
5月14日のブラックバーン戦で2010-2011シーズンでのプレミア優勝を決めたマンUのルーニー。実質的にホームといえるウェンブリーで、プレミアの雄・マンUはどのように戦うのか?
バルサ戦では90分間続けて高度な頭脳戦を強いられる。
練習グラウンドで仮想ダビド・ビジャのマイケル・オーウェンを相手にしている候補者の中では、ジョン・オシェイがビジャ本人と対戦する機会を得るのではないか、と見なされている。
バルセロナ戦でのDF陣は、対人のマークとスペースのカバーに関して、90分間、瞬時の判断を迫られ続ける。言わば頭脳戦だ。
今季は、CL戦ではラファエウ、終盤のリーグ戦ではファビオが務めることの多かった右SBだが、前回対決でも及第点の守備を見せたオシェイには、若いダ・シウバ兄弟にはない経験に基づく守備のノウハウがある。
「大一番に強い」フレッチャーがバルサのリズムを崩す。
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オシェイを上回る“サプライズ”起用があるとすれば、ボランチでのダレン・フレッチャー先発だろう。
今季終盤の調子で選ぶということならば、センターハーフとして巧妙なパスワークでリーグ優勝とCL決勝進出に貢献したライアン・ギグスの起用が妥当ではある。最悪のタイミングで浮上した不倫疑惑で渦中の人となっているが、今季最大の決戦でベテランの集中力が損われるとも思えない。決勝4日前に行われたガリー・ネビルのテスティモニアル(功労試合)でも、スタメンとしてユベントスからの先制点を演出している。
しかし、37歳の元ウィンガーは、2歳若かった2年前の対戦でさえバルセロナのパス&ムーブの前に右往左往しただけに終わった。中央でコンビを組むマイケル・キャリックの横に、運動量の豊富な“タックラー”がいれば、中盤でパスを断ってバルセロナのリズムを崩すこともできたはずだ。
前回対決を準決勝でのレッドカードで逃したフレッチャーは、今回も3月からの病で出場が危ぶまれたが、決勝にターゲットを絞って調整を進めてきた。ファーガソンが「大一番に強いタイプ」と信頼を寄せる27歳は、プレミア最終節でフルタイムをこなすと「準備はできている」とバルセロナ戦に向けて意気込んだ。