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“スーパー・ルーニー”出現なるか?
最強バルサに挑むマンUの勝機とは。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byREUTERS/AFLO
posted2011/05/27 10:30
5月14日のブラックバーン戦で2010-2011シーズンでのプレミア優勝を決めたマンUのルーニー。実質的にホームといえるウェンブリーで、プレミアの雄・マンUはどのように戦うのか?
イングランド・サッカー界の聖地、ウェンブリー・スタジアムで行われる今季のCL決勝。しかしながら英国民の間でも、母国のマンチェスターUではなくバルセロナの優位が唱えられている。それほど「バルセロナ=最強」のイメージは強烈だ。
アレックス・ファーガソン監督でさえ、「スーパーチームが相手では仕方がない」と、挑戦者の立場を甘んじて受け入れるコメントを出している。
だが、勝ち気なマンUの指揮官は、「戦いを挑む実力はある。勝ちにいく」と付け加えることも忘れてはいない。攻めの姿勢の裏には、バルセロナとの前回対決での苦い記憶があるのだろう。CL2連覇を狙った2009年決勝での敗戦(0-2)は、国内のメディアで「不戦敗」とまで酷評された。
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最も叩かれたのは、ウェイン・ルーニーが消えてしまっていた事実だった。
マンUの「10番」は、攻撃の主役の座をクリスティアーノ・ロナウド(現レアル・マドリー)に譲り、左サイドでリオネル・メッシに対する第1防波堤の役を任された。極端な言い方をすれば、プレミア随一の攻撃タレントは、スタート位置こそ3トップの一角ながら、守備の一駒も同然だったのだ。
CBと左SBは万全だが、右SBには絶対的なレギュラーがいない!
今回、ルーニーを積極的に攻撃参加させるとしても、マンUは応戦の準備を怠ることはできない。
メッシを中心とする敵の3トップと相対するマンUの4バックでは、右サイドの人選が注目される。
中央には、プレミアを代表する、リオ・ファーディナンドとネマニャ・ビディッチのCBコンビがいる。
左SBには、2年前の決勝でもメッシを危険度の低いアウトサイドに追いやることに成功していたパトリス・エブラがいる。
だが、右SBには絶対的なレギュラーがいない。